近年、SaaSやサブスクリプションなどのビジネスモデルが増えたことで、すでに導入している企業が増えているカスタマーサクセス。 欧米に比べると、日本でのカスタマーサクセスの歴史はまだ浅いですが、すでに導入カスタマーサクセスで成功している企業は多くあります。 しかし、カスタマーサクセスと一言で言っても、企業が取り入れているサービスは多種多様で、どんな風に取り入れていけばいいか悩みますよね。 そこでこの記事では、実際の企業のカスタマーサクセスの成功事例を一挙紹介! 日本におけるカスタマーサクセスの成功事例は具体的にどのようなサービスを取り入れ、成功に至ったのかを詳しく解説します。 これからカスタマーサクセスの立ち上げを考えている企業は、すでに導入している企業の事例から成功パターンを学びましょう。 また、テックタッチによるカスタマーサクセスの事例を参考にすることもおすすめです。 数々の事例から、カスタマーサクセス立ち上げに必要なポイントを探っていきましょう!
顧客の成功を意味する「カスタマーサクセス」とは?
顧客の成功を意味するカスタマーサクセスとは、企業のサービスや商品を利用することで、顧客の目的や成長を達成させて顧客満足度を高め、利益も得るという取り組みのことです。 混合されやすい営業との違い、カスタマーサポートとの違いを詳しくご紹介します。
カスタマーサクセスについては、下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
▶︎カスタマーサクセスとは?カスタマーサポートとの違いを整理!
カスタマーサクセスと営業の違い
カスタマーサクセスと営業は、目標が違います。 カスタマーサクセスは、契約の継続を目標としており、営業は新規の契約数を多くすることが目標です。
また、営業は人付き合いが重要となる面が多くあるので、営業職への向き不向きが出てしまうケースや、人によって得られる成果が違うといったケースが生じます。 それに対し、カスタマーサクセスは、既存顧客の動向がデータで管理されているため、データに基づいたアプローチが可能。誰が対応しても、同じような効果に結びつきやすいです。
顧客とよい関係を築いたり、サービスや商品を活用してもらうという共通点もあり、どちらかのみが必要ということはありません。役割分担をして、各部門で連携を取りながら顧客の成功へアプローチしていくことが重要です。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、顧客へのアプローチの仕方に違いがあります。 カスタマーサポートの主な業務は、顧客からの問い合わせに対して解決策を提示すること。 対して、カスタマーサクセスの主な業務は、顧客が抱えているニーズを見つけ出し、先回りしてサービスや製品を提供していくことです。 カスタマーサクセスが先回りして顧客のニーズに応えていくことで、アップセル、クロスセル、解約防止にも繋がります。
カスタマーサポートの部署が既にある企業も多いですが、近年ではカスタマーサポートからカスタマーサクセスへ移行する企業も増加しています。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートとの違いについては、下記で詳しく解説しているので、参考にしてください。
▶︎カスタマーサポートとは?役割や向いている人、オススメのツールを紹介
カスタマーサクセスの普及はSaaSにある
カスタマーサクセスの普及には、SaaSが大きく関係しています。
サブスクリプションモデルのビジネスが多くなってきたことにより、SaaSというサービスが注目。 以前は、ソフトウェアやアプリケーションを購入し、各自のデバイスに取り込んで使用する形がほとんどでしたが、近年では、多くの企業でSaaSが導入され、オンライン上でさまざまなアプリケーションを使用できるようになりました。
サービスのSaaS化により、顧客は常に最新版のシステムを安く利用でき、企業は収益を継続的に得られるようになったり、顧客の利用状況をデータで把握できたりと、双方にメリットがあります。
しかし、単純にSaaSを提供しても、すぐに解約されれば継続的な収益は見込めず、利用状況の把握もできません。 そこで、契約の継続や収益の向上に結びつけるために、顧客の潜在的なニーズを汲み取り、新しいサービスや製品をアップデートして提供していくというカスタマーサクセスが必要になります。 つまり、サービスのSaaS化が増加したことで、カスタマーサクセスが活用される場面も増えたということです。
ビジネスモデル別で見る!カスタマーサクセスの成功事例8選
解説したカスタマーサクセスの重要性を含めて、実際にどのようなサービスを導入すべきなのかを見極めていきましょう。 実際に企業が実践しているカスタマーサクセスの成功事例をBtoC、BtoB別に4つずつご紹介します。
【BtoC】カスタマーサクセスの成功事例4選
まずは、企業から個人消費者に向けたサービスです。ここでは、Apple Music、Oisix、メルカリ、アマゾンエコーの4つをご紹介します。
Apple Music
音楽配信サービス大手のApple Musicは、サブスクリプションモデルのサービスを取り入れました。 利用者が好きな曲を1曲ずつ購入するという形が主流でしたが、定額制で多くの曲を聞くことができるサービスに変化したことでさらに多くの顧客から支持を得ています。 また、利用者が好んで聞いている曲や歌手の履歴を元に、おすすめ曲を提案するといった機能も充実しており、利用者の満足度を高めることに成功しました。
Oisix
食材の宅配サービスをサブスクリプションモデルで提供しているOisix。 「おいしい料理を作りたいけど、時間もないし、レシピもわからない」というユーザーのニーズに向けて、レシピを見ながらメインのおかず1品、副菜2品を20分で作ることができる『ミールキット』という製品を開発し、顧客数を伸ばしました。
開発当初は、短時間でおいしい料理が作れると評判はよかったものの、なかなか売り上げは伸びませんでした。 そこで、ユーザーへの綿密なヒアリングを行い改良を重ねた結果、おすすめのレシピをOisixがあらかじめ提案、顧客はその中からいらない商品を省き、欲しい商品を追加するという形に。 食材の入れ替えは可能で、不要な食材を省いたり、キャンセルもスムーズにできるようになっています。
顧客が何を求めているかをしっかりヒアリングしたことで、サービスの解約率を抑えることに成功している事例です。
メルカリ
フリマアプリの代表格として知られるメルカリはVOCを聞くことを徹底した結果、ユーザー数を大きく伸ばすことに成功した企業の1つです。 顧客と直接接点をもつため『メルカリサロン』や『メルカリ文化祭』を開催し意見交換の場を設けています。 そのようにして、集めたVOCを確実にカスタマーサクセスにつなげるためにメルカリはあらゆる手段を講じました。
✔️VOC読み込み合宿
✔️VOCミーティング
✔️VOC新聞
✔️VOC壁紙
こうして集まったVOCを社員で共有し分析したことで、サービスの仕様変更や匿名配送できるメルカリ便の構築などが可能となりました。
社内、社外との連携を深めて顧客が満足する仕組みを日々作り上げています。
Amazon Echo
音声認識AIアシスタント『アレクサ』を搭載し、話しかけることで身の回りのサポートをしてくれるAmazon Echo(アマゾンエコー)。 発売当初は、アマゾンプライムミュージックの楽曲しか再生できないスマートスピーカーでしたが、顧客からの強い要望もあり、競合する他の音楽配信サービスも接続可能に。 その結果、アマゾンプライムミュージック会員以外の顧客もアマゾンエコーを利用するようになりました。 また、音楽以外にも天気予報やニュースの視聴や、家電製品と接続することで音量・照明・室温なども声のみで調整できるようになったことで、顧客の満足度を高めることができました。 さらに、ウィスパーモードを搭載したことで、小さな声でも反応するため、子供を寝かしつけた後に音楽を止めたり、照明を調節したりすることが可能になり、子供の寝かしつけを邪魔しないという成功体験を顧客に提供しました。
【BtoB】カスタマーサクセスの成功事例4選
続いて企業から企業へのサービスのご紹介します。
Adobe
画像加工や編集を行うツールやPDFファイル閲覧ソフトなどで有名なAdobe。
世界中の多くの企業や個人ユーザーを顧客として抱える大手企業です。
Adobeが提供する多くのソフトはプロクリエイターが使う物が多く、価格も高いという特徴がありました。
そのため、新バージョンが発売されても買い替えをせずに旧バージョンを使い続ける顧客も多く、取引先とバージョンが違うことでトラブルが起こることも。
これらを解消するために取り入れたのがサブスクリプションモデルです。顧客は月額制にすることで費用を抑えることができ、企業側は継続的に収益を確保できるため、双方にメリットが生まれました。 また、大企業から個人ユーザーまで多くの顧客を抱えるAdobeは、顧客対応にCRMシステムを活用。ハイタッチによるアプローチだけではなく、テックタッチをベースに最適なタイミングで有効的なアプローチをすることで顧客の支援を行うこともAdobeの強みとなっています。
SmartHR
労務管理や労務手続きなどの幅広い業務に着目して、クラウド上で一括管理をする「クラウド人事労務ソフト」であるSmartHR。 このシステムにより、紙媒体での管理がなくなり、コピーや郵送により生じていた費用と時間の削減も可能となりました。 元々は中小企業を対象としたシステムでしたが、多くの企業からのニーズが高く広く普及。 中小企業から大手企業まで幅広い顧客をもつSmartHRでは、複数のチームを編成してカスタマーサクセスに取り組んでいます。
✔️大企業向けチーム
✔️中小企業向けチーム
✔️各チームのサポート
✔️テックタッチ
✔️オペレーション
当初は3つだったチームもその後5つのチームになり、各チームの役割を果たすことで顧客の満足度向上へとつなげていきます。
常に最善のサービスを提供するために社内の体制変化も取り入れた結果、99.5%という継続利用率を出すことに成功しました。
Sansan
名刺をクラウド上で管理するシステムを提供しているSansanでは、名刺だけでなく取引実績なども一括で管理することが可能です。 クラウドで管理することで他部署の社員も共有することができるようになりました。 また、Sansanの最も特徴的な点は、カスタマーサクセスのタッチモデルを企業が提供するサービスプランに組み込んで顧客に提供していることです。 名刺管理ツールを導入するためのサポート体制を、各プランごとに期間を分けて提供しています。
ベルフェイス
オンライン営業システム大手のベルフェイスは、カスタマーサクセスに力を入れていることで有名です。 ベルフェイスのカスタマーサクセスでは4つのチームに分かれて取り組みます。
✔️ハイタッチ担当チーム
✔️ロータッチ担当チーム
✔️テックタッチ担当チーム
✔️オンボーディング担当チーム
各チームで各企業の利用状況を分析し、適時必要なサポートを提供する体制をとっています。
また、全ての契約企業に専任のカスタマーサクセス担当者がつき、インサイドセールスが成功するためのサポートを徹底。
企業がベルフェイスのシステムを使って営業を行うことで、自然と営業を受ける側もベルフェイスのシステムに触れることになります。
そうすることでベルフェイスの認知度も高まり、利用者が増えていくこととなりました。
チャネルトーク
熱狂的ファンを作るCRM・接客チャットを提供するチャネルトークは、売上前年比が5倍・3.1倍・3.3倍で3年連続成長と急速に成長しているスタートアップで、導入実績は70,000社です。急速な成長を遂げた背景には、「顧客中心文化」がありました。エンジニアやマーケターなど、直接顧客と関わらない部署メンバーも、顧客と話す機会を作るために、チャットサポートに参加してもらっています。また、カスタマーサクセスは、売上は結果であり、「ファンづくり」や「顧客との友達のような関係構築」を最も大切にして、既存顧客のユーザーコミュニティをSlackで運用、ユーザー交流会を月2回のペースで実施、感謝の気持ちをこめたノベルティをプレゼントするなどして、熱量の高いSNSや口コミが生まれたことで「Customer Driven」の急成長を遂げました。
必要なスキルって何?カスタマーサクセスに向いている人の特徴
カスタマーサクセスは、非常に幅広い分野の業務を行うことが求められています。 とくに、顧客との信頼関係を築くことは必要不可欠です。 顧客とのコミュニケーションの中から潜在的なニーズを汲み取り、解決策を提案することができる人材が求められています。 顧客とのコミュニケーションだけでなく社内のあらゆる部署と連携を取り円滑に業務を進めることも大事なスキルと言えます。 以下のようなスキルを持った人が適していると言えるでしょう。
✔️コミュニケーションスキル
✔️情報分析・問題解決スキル
✔️関係構築スキル
✔️自社商品・サービスの正確な知識
カスタマーサクセスはまだ日本の企業では歴史が浅く十分な経験を積んだ人材はまだ少ないのが現状です。
だからこそ今からカスタマーサクセスに適した人材の育成に力を入れる必要があります。
抑えておきたい!カスタマーサクセスの立ち上げを成功させる3つのポイント
企業がカスタマーサクセスを導入する目的は、顧客側の満足度を高めること、そして企業側の収益アップにつなげることです。 顧客と企業の双方にメリットがあるからこそカスタマーサクセスの導入は今後必須となりますよね。 そこで、新たにカスタマーサクセスを立ち上げる際に抑えておきたいポイントをご紹介いたします。
顧客を分析しニーズを把握する
カスタマーサクセス業務の最重要ポイントともいえるのが顧客の潜在的なニーズを汲み取ること。 顧客のニーズを探し出す手段は、会話によるコミュニケーションだけではありません。 データ管理された顧客情報や利用状況から課題を見つけ出すことができます。データ化された情報を分析することで顧客自身も気が付いていないニーズを把握します。
他部署との連携を促進させる
カスタマーサクセスの立ち上げを成功させるためには、他部署との連携も重要なポイントです。 顧客の潜在的なニーズに応えるために取り組むべき課題は、カスタマーサクセスの部署内で完結するとは限りません。 他部署と積極的に連携をとることで、既存の製品やサービスの改善、新規事業の開発などを推進していくことが可能になります。 そのためにも、日ごろから他部署との情報共有の必要があります。
アップセルやクロスセルを意識する
顧客が満足をする、成功するという経験をすることで、アップセルやクロスセルなど新規の契約へとつなげる必要があります。 しかし、アップセルもクロスセルも顧客のニーズに適した提案であるかどうかということが重要です。 この大前提は決して覆してはいけません。 顧客のメリットにならない契約をしてしまうと、結果的に解約となる恐れもあります。 顧客にとって有益となるような提案を心がけましょう。
カスタマーサクセスを向上させたいならチャット・チャットボットの導入がおすすめ
近年多くの企業がweb接客という方法を取り入れてきています。
web接客の手法はいくつかありますが、カスタマーサクセスを意識するのであればチャットボットの導入がおすすめです。
チャット・チャットボットを導入することによって、企業側には下記のようなメリットがあります。
✔️コストカット
✔️業務の効率化
✔️顧客のニーズの把握
✔️顧客満足度の向上
また、顧客側にももちろんメリットがあります。
✔️気軽に相談できる
✔️リアルタイムに返答がもらえる
✔️複数の言語に対応
チャットボットを導入するメリットについては、下記の記事に詳しく解説しているので、参考にしてください。
▶︎チャットボットの4つの種類と特徴とは?AI型・シナリオ型の違いも解説!
【まとめ】カスタマーサクセスの成功事例から勝ちパターンを学ぼう!
今回の記事では、実際にカスタマーサクセスに成功している事例の紹介や、カスタマーサクセスの立ち上げに必要なポイントをお伝えしました。 企業が提供する製品やサービスは多種多様ですが、広く顧客の声を汲み取ることをどの企業も共通して重視しています。 今回紹介した事例を参考にしながら、自社のサービスに合ったカスタマーサクセスを検討してみましょう。