チャネルストーリー、この度チャネルトークを提供しているメンバーの紹介シリーズをはじめます! 第1回目はチャネルトークの代表でもあり、プロダクトを1から作ってきた代表のRedをご紹介します。
初めての起業は11歳、その後も起業家として4つめの会社、7つめのプロダクトとして、なぜ今チャネルトークを提供しているのか、そのストーリーをご紹介します。
💬エンジニアとしてキャリアをスタートさせていますよね。そのきっかけはなんでしたか
最初にコーディングを始めたのは小学校6年生、11歳のときでした。
レンタルビデオ店を経営していた父親が店舗管理システムを作って一緒に起業しようと誘ってくれ、プログラミングの魅力にハマるようになりました。
実際にそのシステムは評判がよく、外販に近いところまで行きましたが、父の他界や経済状況により最終的には事業として大きくすることはできませんでした。
💬その後も連続起業家として様々な事業をされたと聞きました。これまでどんな会社を立ち上げたのでしょう?
高校生のときには上京してゲーム会社を立ち上げたのですが、結局チームビルディングがうまく行かずローンチまでたどり着くことができませんでした。また、自分もゲームをやらないため、顧客視点も持てませんでした(笑)
その後、ZOYI(現Channel Corporation)の前身となる会社を立ち上げました。これはいまでいうインフルエンサー・マーケティングに似た領域のサービスで、ローンチ当初は順調でした。
2013年頃にはアメリカ進出もして、サービス拡大のタイミングでしたが、当時FacebookやTwitterのポリシーが変わり、それまで提供されていたAPIが廃止となってしまったのです。自分たちのサービスはプラットフォームであるSNSに依存せざるを得ませんでしたから、サービスの売上は急激に落ちました。
今では多くのインフルエンサー管理ツールが出てきていますが、今振り返れば、顧客の声も十分に拾えていないトレンドを先取りしすぎた一人よがりなサービスだったかもしれません。
いわゆる崖っぷちの状況で、社員全員に会社として危機的状況であることを伝えて退職者を募ったりもしました。それでも7人のメンバーは最後まで残ってくれ、彼らのためにもなんとかしなければと感じましたね。
給料も支払えるかどうかわからないという状況で、最後の望みをかけたのが政府補助金のプログラムです。11社が選定される予定で、応募が12社でした。ビリさえならなければなんとなると思ってました。が。
もしかして…
はい、そのまさかです。うちがビリになってしまいまして…笑
なので、新しい会社を作って新しいチャレンジをしようという話になり、新しく立ち上げたのがZOYI(現Channel Corporation)、いまの会社です。
2014年1月に法人を作り、4月1日にエイプリルフールみたいにシード調達をしました。
その後は政府助成金にも通り、会社としても成長できました。
💬チャネルトークを作ったきっかけを教えてください
すでにバイアウトしましたが、実はチャネルトークとは別に、立ち上げの頃からエンタープライズ向けに、リアル店舗の動線分析などGoogle AnalyticsとなるWalkinsightsというサービスを提供していました。初期の頃は営業などもほとんどする余裕がなく、一番の顧客接点はウェブサイトだったんです。しかし、ウェブサイトにメールアドレスがあっても問い合わせがあまりないということに気づきました。
そこでIntercomというアメリカのサービスを導入してみたのですが、社内で全く活用されませんでした。チャット担当を指定したりもしましたが、数カ月ぶりにサービスを開くと問い合わせが放置されてたりして…笑
ショックでしたね。せっかくお客様が問い合わせてくれたのに、何もできなかったというのは。
いろいろ話を聞いてみると、UIや設定など、いろいろ難しさや課題があり、むしろ改善のポイントをみつけたられたように思えました。そして、自分たちならより良いサービスを提供できるのではないかと思いはじめ、チャットを通じてこれまでとは異なる顧客コミュニケーションを提供できるプロダクトにカスタマイズしました。
例えばよくチャットの使い方としては、「メールアドレスをご記入ください」としてあとからメールを返したりしていますが、一般の消費者の中にはメールをみない人も多かったりします。そこで、携帯電話の番号を記入してもらい、SMSで連絡する形にもローカライズしてみました。
数回のユーザーテストを経て、最初はECをターゲットにしたチャット接客ツールとしてローンチしました。
それがトラフィックの大きいECサイトのニーズに合わせ、トラフィックの多いサイトでも低価格で提供できるソリューションである「チャネルトーク」になります。
💬ZOYI(現Channel Corporation)の現状について教えてください。
2018年の1年間で売上は5倍に成長し、2019年は3倍、2020年も3倍と3年連続で成長を遂げることができました。日本でも2020年売上で7倍の成長をしました。韓国と日本(KDDI、グローバルブレイン、コロプラネクスト)で累計11.8億円の資金調達も行い、直近では、韓国政府助成金プログラムに通過して5億円の融資を得ることもできました。黒字化しており、資金にも余裕ができたため、マーケティングなど有効に活用していきたいですね。
チャネルトークの売上は毎月10%程度成長しており、日本の売上は全体の15%程度となっています。チームは50名で、うち70%がエンジニアです。顧客は、ECが37%でもっとも多く、その次がスタートアップです。
特に日本は4名体制で、日本CEOとセールス、コンテンツマーケター、エンジニアをそれぞれ一名ずつおき、CSは全員で行なっています。日本を重要なマーケットとして位置づけて、2,3年後には韓国を超える規模に成長すると期待しています。
7つ目のプロダクトとしてやっと失敗の原因に気づくことができました。「答えは顧客にある」。顧客をより理解し、プロダクトに反映し、顧客に寄り添うことでこそ、ビジネスが成功する条件だとを身を持って知りました。顧客がいないサービスはあり得ない。顧客中心文化は、ビジネスの本質で成功の鍵です。チャネルトークをアジアを中心にグローバルに展開して、持続的に成長するSMB=顧客中心文化をもつ企業を増やすことが目標です。
💬どんな指標をみているのですか。
一番大事にしているKPIは有料顧客数と、MRRを大事にしています。どの企業も電話やメールフォームがあるのと同じように、Webサイトにチャットがついているのが当たり前になる時代がくると思っています。「We make Future Clasic Product」と開発理念で示しているように、未来の当たり前を作れるように開発とグロースをしていきたいです。
ユニコーンという言葉をよく口にされていますが、なにか理由がありますか。
二つあります。
一つ目は宣言する力です。日本には言霊という言葉があるそうですが、それに近いと思います。
知り合いの起業家※に「夢はなんですか?」と聞いたら「ユニコーンになることだよ!」とおっしゃってました。その後3ヶ月で本当にユニコーンになっちゃうとは思いませんでしたが笑
それからは私も自分の目標は宣言するようにしています。
※KRAFTONの代表。KRAFTONは韓国のゲーム企業。Player Unknown's Battle Groundで一躍ユニコーンとなった。ちなみにPUBGが当たるまでは17のゲームタイトルを出すもすべて失敗。最後から二番目の挑戦が成功につながる。
もう一つは、世の常識を覆してみたいと思ったからです。
- 韓国ではB2Bビジネスでは大きくなれない
- アジアではB2Bビジネスは難しい
昔から言われていることですし、私も同意できる部分はあります。しかし、これからは違うと思いますし、そういった世の中の常識を変えていこうとしています。
どうしてそう確信できるのでしょうか
企業側の姿勢が変わったことが大きいですね。
以前であれば、ツール自社開発したりSIerに任せていた企業が、SaaSなどの外部ツールを活用しなければならないという危機感を抱きはじめました。
一方、アメリカをはじめとしたグローバル企業では自社ビジネスの本質的に集中するため、ツールは外部から持ってきます。ゲーム会社ならゲームを早くローンチすることが大優先だと考えるんです。
韓国や日本の企業もそれを見習うようになり、CRM(顧客管理)やサーバー、社内ビジネスチャット、会計などに外部ツールを活用するのがもはや当たり前になってきました。
💬ZOYI(現Channel Corporation)が他のB2B企業と違うところを教えてください
これについてお話する前に、まずはこれまでのB2B企業の営業方針について説明しなければならないですね。B2Bツールの普及をある意味で邪魔していた仕組みとなります。
とある企業がB2Bサービスのホームページをみています。
良さそうだなと思って、資料請求をしたり、問い合わせをします。そして営業プレゼンを受け、契約を取り交わします。このような導入フローでは、営業が大事になります。しかし、営業一人が一日にできるミーティング数には限界があります。つまり、営業の数と会社の売上が比例するんです。そして営業マンを雇うたびにオフィスの賃貸やHRチームなど、間接費用も同時にかさんできますよね。
そうなると、いつ頃かプロダクトの重要度が落ちてきます。つまり、営業チームの運営に対する比重が大きくなってしまうんです。
一度そうなってしまうと、プロダクトを低価格で提供することが不可能になります。人件費が捻出できませんからね。そうなると提供できるユーザーも絞られ、価格をまた上げなければならない。こういった循環になります。チャネルトークは、SMBが導入できる低価格で提供し、持続的な成長を支援するツールのため、営業に頼るのはナンセンスです。営業は、スケーラビリティを阻害する悪循環だと思います。
営業の手が入らずともプロダクトが売れること、それが本当の意味でのスケーラビリティを保つ仕組みです。なので私たちはB2Bの製品であってもウェブサイト上で購入が完結できるようにしています。
売るために人を採用するのは易きに流れる戦略です。わたしたちのやり方ではありません。
チャネルトークではスケールを大切にし、売上が2倍になってもチームは2倍に増やさない、これが私達の競争力の源泉だと思います。
プロセスをオンライン化し、より多くの企業がチャネルトークを利用できるようにする。そして、よりよいプロダクトに改善し続ける。それがテック企業としてプロダクトとユーザーに向き合うことだと考えています。
では、チャネルトークに営業はいないのか? もちろん優秀な営業メンバーがいますが、目指すことが異なるのです。営業がするべきことは、機能を売ることではなく、これからも絶えずスピード感を持って進化し続けるチャネルトークのビジョンや顧客中心文化を伝播すること、そして顧客をファンにすることが目標です。そして、CSや他のメンバーと同様に、顧客と直接話すメンバーとして、顧客自身やニーズを把握し、プロダクトに反映します。これがスケールを重視するチャネルトークの営業です。
💬チャットサービスはすでにレッドオーシャンにみえますが、競合をどう考えていますか
私たちが乗り越えなければならないライバルは、似たようなチャットツールを提供する企業ではありません。一番の競合は「電話」で、例えばユーザーが持つ「電話やメールがあるのにわざわざチャットなんていらない」という考え方そのものです。
マーケット全体をみていても、世の中の流れは確実にチャットに対する必要性は高まっていると思います。特にいまのミレニアル世代では、電話をかけることへの抵抗感が高く、テキストのほうがより馴染み深くなっています。これからはチャットを導入することが必須でしょう。
今後の展望についてですが、マーケティングに注力すると伺いました。B2Bの企業でマーケティング注力するというのはどんな理由からでしょうか。
マーケティングとは言っても、顧客中心文化を醸成することに注力する予定です。
私たちはよいツールを提供する企業にはなりたいと考えていますが、単なるツールの提供者にとどまるつもりはありません。良いツールとは、ユーザーがどう使うか、その文化を作り上げる必要があります。それが長く続く市場を作る、本当の意味での「マーケティング」だと思います。
💬どう文化を作るのでしょう?
例えば先日は韓国のスタートアップCレベル向けにCXC(Customer Experience Conference)というイベントを開きました。普段は注目されることのないCSの重要性を語る場を提供したかったという点もありまし、他社の方ともネットワークを広げ、CS知見を深める機会にもしたいと思いました。
今度企画するものはヒーリング・キャンプという、CSの実務者レベルに限定した、ある種の慰労会を開こうというものです。足マッサージなんか提供しながらですね。
そして、「CSは本当に事業の中枢で大事な役割をになっている、皆さんの肩に企業の将来がかかっているといっても過言ではない」というメッセージを伝えたいですね。
普段CSの担当者は精神的にストレスを感じることが多く、離職率も高いんです。そういった方をねぎらうことでCSの地位向上を図れることが文化を醸成することの一端になると考えています。
他にも取り組んでいることはありますか
海外のB2B企業をよくよくみていくと、本質的な部分に集中することを大事にしています。
自社のツールを広告するのではなく、プロダクト・マネージャーがブランドの哲学を伝えることをより大切にしているんですね。
なので、私たちも自社の哲学を伝えられるような仕組みを作り上げていくための施策を考えています。
私たちがよく参考にしているIntercomが最近出した記事では、コンテンツ・マーケティングではなく、ブランド・パブリッシングというワードを使うべきだという提唱がされていました。
長期的な目線でコンテンツを作ることがブランドの価値を高められるということです。
お金をかける広告以外にもマーケティングの手法はあり、十分ユニコーンになれるということを証明したいと思っています。
💬会社としても目指すのはユニコーンなのでしょうか
私たちはユニコーンは一つの通過点にすぎません。最近では、さらに高みを目指そうとその10倍のデカコーンを目指しています。そして、会社としてのビジョンは「We Make Future Classic Product- 未来のクラシックになるような製品をつくろう」というものです。
時代を代表する製品というのがあると思います。
例えばSONYのワークマンやアップルのiPhone。
B2BのSaaSであればSlackといったものがあるかと思います。
顧客コミュニケーションはチャネルトーク、そういう業界の基準になることが究極の目標だと考えています。
💬今日はいろいろお話いただき、ありがとうございました!
「未来の当たり前を」作る、という理念のもとにチャットを通じた顧客理解の文化を作っていくという代表の思い、熱い気持ちをインタビュー中ずっと感じることができました。
この熱意が皆様にも伝わり、日本のウェブサービスの文化をも一緒に変えていくことが私たちチャネルトークのメンバーの目標です。今後もぜひぜひ、チャネルトークをよろしくお願い致します!