「分析して終わり」ではない ベルーナがAI CoSで回す、問い合わせから販促までの改善サイクル
有人チャット比率を60%以上、お問い合わせ比率を15%以上削減。さらに問い合わせ対応にとどまらず販促にも活用し、ほぼ毎日注文につながる成果を出したAI事例
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「お客様の衣食住遊を豊かにする」という理念のもと、カタログ通販とECを中心に幅広い事業を展開する株式会社ベルーナ。アパレルから食品、化粧品、ホテルまで複数の柱を持ち、お客様との接点も多岐にわたります。(https://belluna.jp/)
そのEC領域の問い合わせを担うEコンタクトセンターは、チャネルトークの導入後、有人チャット比率を60%以上、お問い合わせ比率を15%以上削減。さらに問い合わせ対応にとどまらず販促にも活用し、ほぼ毎日注文につながる成果を出しています。
その裏側で日常的に使われているのが、チャネルトークの「AI CoS」です。
株式会社ベルーナ EC事業本部 Eコンタクトセンター センター長の高橋 昌広氏と、EC事業本部 Eコンタクトセンター 主任 伊藤 俊氏に、日々の業務がどう変わったのかを伺いました。
お客様の声を改善につなげるEコンタクトセンター
株式会社ベルーナ EC事業本部 Eコンタクトセンター センター長の高橋 昌広氏
-まず、ベルーナの事業と皆様について教えてください。
高橋:ベルーナは「お客様の衣食住遊を豊かにする」という理念のもと、カタログ通販やECを中心に幅広い事業を展開しています。アパレルやファッション雑貨、インテリアのほか、食品、健康食品、化粧品、ホテル事業など、いろいろな柱を持っているのが特徴です。
カタログ、ECサイト、電話、チャットと、お客様との接点も多岐にわたります。だからこそ商品を販売するだけでなく、お買い物の前後を通じて安心してご利用いただける体験づくりを大切にしています。その中でいただく問い合わせやご意見を重要な声として捉えて、商品ページや案内、業務プロセスの改善につなげる取り組みを進めています。
私は審査、食品、情報システム部といった部門を経て、現在はEコンタクトセンターのセンター長を務めています。運営だけでなくシステム面も含めて、センター全体の改善を見ています。
伊藤:私は8年間インテリア部門で商品企画を担当したあと、Eコンタクトセンターに移りました。事業側にいた経験があるので、お客様の声をどう改善につなげるかは常に意識しています。
-日々の業務では、どのような情報を見ているのでしょうか。
高橋:大きく3つの観点があります。1つ目は問い合わせ内容の分析です。件数を見るだけではなく、実際の内容から商品ページや注文導線、案内表現、配送や返品のどこに改善余地があるのかを把握します。2つ目は受注件数や問い合わせ件数、1件あたりの平均返信時間、人件費といったKPI。3つ目はFAQのブラッシュアップで、自己解決できる情報が足りていないか、分かりにくい表現がないかを見直しています。
情報源はメールシステム、BIツール、行動分析ツール、FAQ、レビューなど複数にまたがるので、各ツールからデータを抽出してExcelで集計・整理することが多いですね。
AI活用の入口は「データ加工」だった
-AIが普及してから、業務で一番効率化できたのはどこでしたか。
高橋:一番分かりやすく効率化できたのは、データ加工まわりです。日々の分析では各ツールや基幹システムからデータを出してExcelで集計するのですが、そのままだと使えないことも多くて、加工用のマクロが必要になります。以前は自分で調べながら作ったり、手作業で対応したりしていました。
AIを使うようになってからは、必要なマクロをかなり早く作れるようになりました。今では細かい修正も含めてAIに相談しながら作ることが多いので、正直、AIなしで以前と同じペースでやるのはかなり大変だと思います(笑)。
-社内での受け止め方はいかがでしたか。
高橋:当時は結構マクロを量産していたのですが、まだみんなAIを知らなかったんですよ。なので最初の頃は、褒められるのが気持ちよくて、AIを使っていることは言わないようにしていました(笑)。
-具体的に、どんな業務が変わりましたか。
伊藤:一番大きいのは楽天の受注登録業務です。以前のやり方だと、スーパーセールの時期はパート社員にも9時から21時まで働いてもらって、なおかつ他の部署からも応援を集めて受注登録処理をしていました。それを年に3回。今はもう画期的に変わりました。
高橋:私自身、スーパーセールを忘れているぐらいです。注文件数を見て「あ、始まってたね」という(笑)。
チェック作業自体は残っているのですが、そこでもデータ加工が必要になるので、マクロで対応しています。以前から作ってはいたものを、AIで作れるようになったという流れですね。
-社内でAIを使う際のルールはありますか。
高橋:弊社では社内向けのAIツールを利用しています。閉じた環境なので外部のウェブ検索はできませんし、入力してはいけない情報も決まっています。社外秘資料の内容、顧客名や個人情報、社内システムの設定情報やパスワード、契約条件や取引価格などですね。
伊藤:私の使い方としては、お客様対応がエスカレーションしてきたときに、こういう経緯でこうなっていて、こんな内容を返信したい、という相談をして文章を考えてもらうことが多いです。もちろんお客様名などは入れられないので、使い方としてはまだ限定的でした。
ベルーナのFAQを読み込んだデモが決め手に
EC事業本部 Eコンタクトセンター 主任 伊藤 俊氏
-チャネルトークを最初に知ったときは、どんな印象でしたか。
伊藤:知ったのはコールセンター関連の展示会です。当時は社内全体として、AIには慎重な空気がありました。ハルシネーションへの不安もありましたし、「すぐに導入しよう」というよりは、まずは情報収集をしながら、どこまで実務で使えるのかを見ていこうという段階でした。
その中でチャネルトークを見たときに、まず導入実績の多さとUIの分かりやすさに驚きました。実際に使う現場のメンバーにとっても扱いやすそうだなと。機能が多くても使いこなせなければ意味がないので、その点は弊社にも合いそうだという直感がありました。
-検討を進める中で、決め手になったのは何でしたか。
高橋:特に印象に残っているのは、最初の商談です。事前に弊社のFAQページを読み込ませていただいていて、デモの中でかなり自然に回答していたんですね。「FAQを登録すると、ここまで使えるようになるのか」と驚きましたし、導入後のイメージが一気に具体的になりました。正直、その体験でかなり心をつかまれました。
実のところ、商談に臨む時点ではAIに対する期待値はそこまで高くありませんでした。それが、チャネルトークのAIエージェント「ALF」の回答の精度と、ここまでのことがこんなに簡単に実現できるのかという手軽さに驚いて、途中から一気に前向きになりました。ハルシネーションについても、限りなく起こりにくい仕組みになっているという話を聞いて、改めて安心できました。
私たちが知りたかったのは、AIを入れることそのものではなく、これまで積み上げてきたFAQやナレッジを、そのままお客様との接点で活かせるのかどうかでした。ALFはそこに直接答えてくれるものだと感じましたし、オペレーターの代わりというより、人だけでは手が回らなかった接客まで届くようになる、というイメージを持てたのが大きかったです。
-FAQの蓄積があったことはスムーズなAI対応を行う上で有利に働いたのですね。
伊藤:そうですね。弊社はECサイトの刷新に合わせて、FAQツールの導入、メールシステムの入れ替え、シナリオ型チャットの導入とステップを重ねてきました。FAQは毎月ブラッシュアップしてきたので、記事が200ページほど溜まっていたんです。
それをまた自分たちで手動で移さなきゃいけないのかな、と思っていました。URL1本で読み込めるというのは、かなり大きかったですね。
高橋:最終的な決め手としては、アパレルECでの導入実績が豊富であったことです。近い業態でどのように活用されているのかを事例からイメージできたのは大きかったです。弊社にとってAI導入は新しい取り組みだったので、いきなり大きく広げるというより、実績のあるサービスを使って、なるべく安全に始められることを重視していました。
-現在は、どのような活用がメインになっているのでしょうか。
高橋:AIに期待していたのが、お客様に接客をするコンシェルジュのような存在です。今はまさにそこをALFが担っています。商品が1万点ほどあるので、オペレーターがサイト上で一人ひとりに接客するのは難しい。そこをAIにやってもらっている形です。
もう一つは販促です。問い合わせ対応で終わらせないで、お客様の状況に応じて商品案内や購入導線につなげる設計にしています。当初は販促までは時間がかかるだろうと見ていたのですが、実際には早い段階で成果が出始めて、今では部門の中でも重要な施策の一つになっています。
伊藤:以前のチャットツールでは、変な挙動があれば都度改善を行っていました。正直それが私の業務負担にもなっていました。今はオペレーターから「このALFだったらすぐ変更できるでしょ」という感じで、よりポジティブに、ダメ元でも提案してくれるようになっています。
導入前はAIに対して慎重な見方もありましたが、チューニングを重ねると案内の精度が目に見えて上がるので、現場としても手応えがあります。実際に改善の成果が見えることで、部門内でもかなり前向きに受け止められるようになってきました。
AI CoSは「データを入れれば一緒に分析してくれる存在」
チャネルトークのAI CoSは、チャットに蓄積された問い合わせデータに加えて、手元のExcelやCSVも取り込み、対話しながら集計・分析ができるAIエージェント。分析結果からALFのワークフローやドキュメントの修正までつなげられます。
-AI CoSは、日々どのように使われていますか。
高橋:本当に日常的に使っています。たとえばメール件数やチャット件数の日次集計は、必要なデータを取り込んでAI CoSに確認する形で見ています。以前よりも確認や整理のスピードはかなり上がりました。
伊藤:以前はメールシステムから抽出したデータを、Excelで集計していました。上長への報告のタイミングで、メールとチャットの問い合わせ件数、受注からの問い合わせ比率が改善傾向にあるか、といったところをまとめるのですが、今はAI CoSに聞く形に変えています。週1でやっていたルーティン業務ですが、従来の半分くらいの工数になっている感覚です。
-集計以外では、どんな分析をされているのでしょうか。
高橋:販促のレポートもAI CoSで作っています。ALFが案内した商品のURLから、どれくらいカートインされているかを商品別・ブランド別・カテゴリ別に集計しています。例えばですが8月に商品名をご案内した件数が1000件と表示してくれます。そこからカート追加率もAI CoSが自動で計算してくれます。
面白いのは、弊社が力を入れている商品群と、それ以外を並べて比較したときです。力を入れている商品群は数こそ限られていますが、CTRは明らかに高い。「やはり強い」と感じていたことを、感覚ではなくデータで確かめられるようになりました。
ほかにも、流入ページの検証、販促のきっかけになったお客様のワード、メール受信時間から作った時間帯別のヒートマップなども見ています。ヒートマップは日付しか入れていないのに、よくここまでできるなと思いました。
-複数のデータを組み合わせた分析もされていると伺っています。
高橋:複数のデータをドライブに入れて、ファイルをまたいで分析できるのがすごく便利です。たとえばALFが案内した中で、どの商品が実際に注文につながりやすいのか、といったところも見ています。単体では見えない傾向が出てくるので、改善のヒントが得やすいです。
作ったレポートは、EC事業本部の本部長に週次で報告しています。一緒に販促をやっているメンバーに「これ全部AI CoSで作った」と言ったら、「マジっすか」と驚かれました。会議中にその場で作って見せたこともあります(笑)。それくらい簡単でスピーディに作成できるのでストレスなく、遊びに近い感覚で触ることができています。
-ALFの回答のチューニングにも使われていると伺いました。
伊藤:かなり活用しています。改善が必要なAI対応やQ&AをCoSが確認し、どこを直した方がいいか、何を追記すべきかを整理してくれています。以前より改善のスピードはかなり上がりました。AI CoSの会話から、ワークフローやルール、ドキュメントを直接修正できるのも手を動かす作業が最低限になっていると感じています。
-一般的なLLMやBIツールとの違いは、どこに感じますか。
高橋:LLMツールとの違いはドライブ機能です。弊社が利用できるLLMツールでは、データを取り込んで検証・分析をするのが弱いです。あとは1ルームごとの限界に達してしまうのが早い。
BIツールは、あらかじめ定義した指標を継続的にモニタリングするのに強みがあります。ただ、想定していなかった変化や、会話データのような非構造データから新しい論点を見つけるには、一定の分析スキルや工数が必要になります。
AI CoSは自分たちで自然言語で指示をすることでデータを作成できます。まるでエンジニアになったような感覚です。
-最初からうまく使えていたのでしょうか。
高橋:もちろん、試行錯誤はしました。販促を始めた頃は、商品データをまとめた大容量のExcelファイルをそのままアップロードして使っていたのですが、正直あまりうまくいかなくて。お客様への回答に2分ほどかかったうえに、待っていただいた結果が「商品が見つかりませんでした」という内容になることもありました。
そのときもAI CoSに相談しながら、どういう形式で情報を持たせるとAIが参照しやすいのかを検証しました。最終的にはExcelをそのまま使うのではなく、ドキュメントとして活用する形にたどり着いて、今ではスムーズに販促に使えています。最初から完璧だったわけではなくて、試しながら運用に合う形を見つけていった感覚ですね。
私たちにとっては、必要なデータを入れれば一緒に分析してくれる存在という感覚です。今では、この機能なしでは仕事が進めにくいかもしれないと感じるくらいになっています。
目指すのは「そもそも困らない」エフォートレスな体験
-AI CoSを使ううえで、大切にしている考え方はありますか。
高橋:「分析結果を出すこと」をゴールにしていません。重視しているのは、分析から改善アクションまでをつなげることです。
たとえば問い合わせが多いという結果が出たときに、それを共有して終わりにしない。どのお客様が、どのタイミングで困っているのか。情報が見つからないのか、分かりにくいのか、手続き自体が複雑なのか。どの部署と連携すれば解決できるのか。そして改善後に問い合わせや顧客体験がどう変わったか。そこまで考えるようにしています。
AI CoSは答えを自動で出してくれる存在というより、現場が良い問いを立て、改善の仮説を持つためのパートナーとして使っている感覚です。
-逆に人が時間をかけるべき部分はどこでしょうか。
高橋:「問い合わせが増えている」という結果が出ても、なぜ増えているのかを判断するには、実際の問い合わせ内容やサイトの状況、商品・業務フローの変更まで見ないといけません。そのあとにどのページを直すのか、FAQをどう変えるのか、関係部署とどう調整するのか、というところも人が進める必要があります。お客様への影響もあるので、最終的な判断やお客様向けの案内は必ず人が確認しています。
AIは作業を全部置き換えるものというより、情報を整理して、見落としにくくして、次に考えるべきことを早く見つけるための相棒に近いですね。その分、人は改善の優先順位を考えたり、関係者と調整したり、お客様にとって本当に分かりやすい形にすることに時間を使えるようになったと思います。
-今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
伊藤:問い合わせの内容から、どれが注文につながっているのかというデータを、もっと商品企画側にも返していきたいです。購入後のレビューだけでなく、購入前にお客様が何に悩んでいるのか。仮に買われなかったとしても、商品ページや商品写真の改善につながるはずだと思っています。
高橋:Eコンタクトセンターの指針として掲げているのは、お客様が何も困らずに買い物ができる「エフォートレス」な体験です。問い合わせが発生した後に素早く解決するだけでなく、そもそも迷わない、困らない体験を増やしていきたい。直近では有人チャットでのAI活用をさらに強化して、注文キャンセルなど手続き系の領域でもシステム連携や自動化を進めたいと考えています。
-チャネルトークにさらに期待することはありますか。
高橋:チャネルトーク内の改善案は出してもらっているので、サイト全体のUI体験の改善案まで出てくると最高ですね。CSはお客様に一番近い部署なので、その声を社内への提案として上げています。そこをもっと後押ししてもらえるとうれしいです。
導入時から今までずっと伴走していただいていて、とても心強く感じています。単にツールを提供するだけではなくて、お客様やVOCを大切にしながら一緒に改善していこうという姿勢に、私たちもすごく共感しています。
お客様の声を「対応すべきもの」として扱うだけではなく、「より良い体験をつくるための資産」として活かしていく。その中心にチャネルトークがある状態を目指したいですね。