高価格帯製品の相談をAIコールセンターに任せても大丈夫?Reencle(リンクル)のボイスAI導入記
生ごみ処理機ブランドのReencle(リンクル)は、BPO契約の終了を機に電話対応をボイスALFに任せました。関与率100%・解決率60%、オペレーターが直接受ける電話は39%減った事例です。
Aida • Marketing|SEO・LLMO対策が専門領域。AIプロンプト開発の知見を活かし変化の激しい検索市場における最適解を追求。技術の進歩をビジネス成長へ繋げるための実践的な情報を発信しています。
- ALF
- AI Tips
- 海外の導入事例
【導入サマリー】
企業名:Reencle(リンクル) / 運営会社:BNTECH(비앤테크)
業種:コマース(小型家電)
課題:
2023年の売上急伸以降、問い合わせが40%以上増加
全問い合わせの60〜70%がA/S(アフターサービス)に関するもので、通話1件あたり平均7〜10分かかる
BPO(外部委託)契約の終了により、電話対応まで社内で担うことに
高額な製品のため、AIによる電話対応への懸念を解消する必要があった
活用機能:ボイスALF(ルール、タスク)、チャットALF(ナレッジ)
成果:
ボイスALFの関与率100%、解決率60%(2026年9月時点)
オペレーターが直接受ける電話が39%減少
オペレーターが1人不在の月曜日も、いつも通りに業務を完了
1. 導入企業のご紹介:微生物式生ごみ処理機ブランド「Reencle」とは?
企業名:Reencle(BNTECH)
業種:コマース(小型家電)
設立年:2018年
売上:314億ウォン(2025年時点)
概要:Reencleは「自然から来たものを自然に還そう」という考えから生まれたエコブランドです。生ごみを家の外に出さず、家庭の中ですぐに処理して減らせるように設計した家電をつくっています。2026年5月時点で、Reencleの累計販売台数は30万台を超えました。多くの支持を集めている理由は技術力にあります。核となるのは、微生物による発酵・分解方式です。機器に生ごみを入れると、24時間以内に98%以上が分解されて消えます。運営会社のBNTECHは、この分解方式に独自の特許技術を採用し、関連する認証も取得しています。最近は海外の販売パートナーを増やし、輸出国を広げながらグローバル市場へと進出しています。
2. 導入の背景:採用だけでは解決できなかった電話対応
製品が売れるほど、問い合わせも増えていきました。2023年から売上が伸びるにつれて、問い合わせの件数は40%以上増加。CXチームの人員を増やし続けても、ブランドの成長と問い合わせが増えるスピードには追いつけませんでした。
複数のチャネルから問い合わせが届き、対応履歴を一か所で確認しにくい状態でした。
全問い合わせの60〜70%がA/Sに関するものでした。
製品の使い方や微生物の状態を詳しく案内する必要があり、電話対応は1件あたり平均7〜10分、長いときは20分かかっていました。
電話対応を一手に担っていた外部委託のコンタクトセンターとの契約が終わり、社内の8人で電話まで受けなければならなくなりました。
通話しながら内容を書き留めて整理する、後処理の業務も増えました。
オペレーターが電話に出ている間にチャットが溜まり、どちらにも集中しにくくなっていました。
Reencleはまず、分散していた問い合わせを一か所に集めるため、問い合わせの一元化に関わる複数のソリューションを比較しました。その中でチャネルトークを選んだ決め手は「対応画面」でした。オペレーターが実際に使う画面が使いやすくなければ、対応品質も上がらないと考えたからです。その後、まずカカオトークとNAVERトークトークを連携し、チャット対応から一元化しました。段階的に電話まで連携し、AIコールセンターの運用体制を整えています。
「単に人員を増やすだけでは、増え続ける問い合わせに対応しきれませんでした。根本的な問題を解決するには問い合わせの一元化が必要だと考え、チャネルトークを導入しました」— Reencle CXチーム チーム長 イ・ダソミ氏
ただし、AIコールセンターを運用するという決断は簡単ではありませんでした。Reencleは、高いものでは100万ウォンにのぼる製品を販売する、高関与型のブランドです。それだけに顧客体験を大切にしてきました。お客様に親切かつ正確に案内するという基準がはっきりしていたため、ボイスAIエージェントの導入には社内で反対意見もありました。CXチームは社内の懸念を解消するため、「お客様が人による対応を望んだら、すぐにオペレーターにつなぐ」という原則を定めたうえで「ボイスALF」を導入しました。
これからは、電話もチャネルトークで - チャネルトーク
すべてのチーム規模に最適で、新たな電話対応をはじめましょう
Channel.io

3. 活用している機能:Reencleが注力した3つの機能
ボイスALFは、電話対応をAIで自動化するエージェントです。お客様からの電話にAIが応答して問い合わせ内容を把握し、案内から業務処理までを1回の通話で完結できます。Reencleは顧客体験を守るため、すべての電話にボイスALFが応答し、人が対応すべき業務だけがオペレーターにつながるよう、「ルール」「ナレッジ」「タスク」を丁寧に設計しました。
1) ルール
活用目的:複雑なモデル名を正確に確認し、対応を進めるために使っています。
Reencleの製品名には英字と数字が混ざっています。Reencleは、お客様が電話で話したモデル名をボイスALFが正しく聞き取れるよう、ルールを細かく整理しました。モデルの一覧と、各モデルをハングルで読んだときの発音情報をまとめ、認識率を高めています。また、お客様が似たモデル名を口にしたときは、製品を正確に区別して確認するようルールに組み込みました。
導入前後の変化:お客様が「プライム」とだけ言っても、ボイスALFが勝手にモデルを決めることはありません。「プライム」と「プライムS」のどちらの製品なのかをお客様自身に確認してもらい、回答を待ってから、それに合った案内を続けます。
「お客様は『プライム』としか言っていないのに、ボイスALFが勝手にモデル名を決めず、詳しいモデルを聞き返していて驚きました。そのやり取りを見ながら『おっ、なかなかやるな』と感心したことがあります」— Reencle CXチーム チーム長 イ・ダソミ氏
2) ナレッジ
活用目的:微生物に関する問い合わせのように、説明が難しい領域の回答の根拠を用意するために使っています。
Reencleはチャット対応にAIを導入した際、新人オペレーターを教育するつもりで、ALFが参照するナレッジを作成しました。ボイスALFの導入にあたっては、そのとき作ったナレッジをそのまま活用しています。これをもとに、製品のおすすめやモデルの比較、認証書の案内といったシンプルな問い合わせは、ボイスALFが直接対応します。
導入前後の変化:微生物に関する問い合わせは、新人教育でも最も時間がかかるほど難しい問い合わせです。ナレッジを細かく整えた結果、お客様が送った写真をALFが読み取り、微生物の状態を判断できるレベルにまで達しました。微生物の状態に応じて、水を足すべきか、回復の時間を置くべきかといった解決方法までALFが案内します。
3) タスク
活用目的:A/S受付のプロセスを改善し、顧客体験を高めるために使っています。
Reencleに寄せられる問い合わせ全体の60〜70%は、A/Sに関するものです。A/Sの問い合わせは、症状を確認できる写真や動画がなければ正確に案内できません。ただ、電話では画像を受け取れないため、必ず別のチャネルで写真・動画を添付してもらうよう誘導する必要があります。その過程で、お客様が別のチャネルにも重複して問い合わせたり、チャットで同じ説明を繰り返したりすることになり、顧客体験を損ねることがありました。
そこでReencleは、お客様が製品の不具合やA/S受付などに触れた場合、まずボイスALFがモデル名と症状を確認するようタスクを設計しました。続いて、症状に合ったセルフ診断テストの方法と関連するガイド資料をSMSで案内します。案内のSMSには、A/S受付が必要な場合に写真・動画を添付できるチャット窓口のリンクも含まれています。
通話が終わったあと、お客様が自分でテストを試し、すぐに問題の原因を解消できることもあります。修理が必要な場合は、チャットで写真・動画を送ってA/Sを申し込みます。
また、電話だけで長く説明されても、お客様にとっては一度で理解するのは難しいものです。Reencleはより積極的にお客様の問題を解決しようと、通話終了後にSMSを送るようタスクを設定しました。メッセージの内容はナレッジをもとに作成され、お客様に必要な記事や画像を届けて理解を助けます。
導入前後の変化:ボイスALFによって、A/S受付にまつわる顧客体験をスムーズに改善できました。お客様は問題を早く簡単に解決でき、オペレーターは同じ問い合わせに何度も対応せずに済みます。
4. 導入の成果:電話は減り、顧客体験は守れました
ボイスALFの関与率100%、解決率60%を達成(2026年9月時点)
オペレーターが直接応答した電話が39%減少
対応の後処理時間が20〜30%減少
Reencleが最も心配していたお客様の反応は、意外な結果となりました。ボイスALFの運用が安定してからデータを整理したところ、電話での問い合わせ全体のうち、オペレーターへの接続を求めたお客様は11%にとどまりました。そのうち、AIの電話に不便さや抵抗感を覚えたケースはわずか0.7%でした。
業務量の変化はさらにはっきりしています。ボイスALFが先に電話を受けるようになったことで、オペレーターが直接受けた電話は39%、実際の通話時間は42%減りました。実はReencleのCXチームは、電話対応を減らすと、かえってチャットの問い合わせが爆発的に増えるのではないかと心配していました。しかし懸念に反して、チャットの増加幅は大きくありませんでした。問い合わせが複数のチャネルに重複して届くことも減り、CXチームは全体の対応量が軽くなったと実感しています。
数字には表れない変化もあります。以前は、オペレーターが通話を終えるまで待つか、そばで直接聞いていなければ、誤った案内に気づけませんでした。ボイスALFの会話はSTT(Speech-to-Text)でリアルタイムに記録されるため、より簡単に確認・修正できます。
「何より変化を一番大きく感じたのは、ほんの数週間前の月曜日でした。オペレーターが1人有給休暇で不在だったのに、みんな慌てることなく仕事ができたんです。ボイスALFの導入前後で問い合わせの量は変わらないのに、オペレーターの通話時間が減ったので、確実に効率よく働けています」— Reencle CXチーム チーム長 イ・ダソミ氏
同じ人数でも、お客様がより必要としているところに対応のリソースを使えるようになったわけです。ReencleのCXチームはここで満足せず、次の課題に向けて準備を進めています。
5. Reencle CXチームが準備する次のステップ
Reencleは、ALF解決率を目標にしていません。その代わりに、お客様がどれだけ少ない手間で問題を解決できたかを見ています。そのため、今後もボイスALFの設定をさらに高度化していく予定です。
対応データをチャネルワークスのAI CoSで分析し、繰り返される問い合わせと誤案内の原因を探る
Reencleの基準に合ったボイスALFのダッシュボードを作る
まず、スムーズな顧客体験のために、対応データもより細かく見ていく予定です。どんな問い合わせが繰り返されているのか、お客様がどの段階でつまずいているのか、誤った案内が発生している問い合わせは何かを確認しようとしています。特に、繰り返される問い合わせは原因を突き止めることが重要です。原因を把握して手を打てば、同じ問い合わせを根本から防げます。Reencleは、チャネルワークスのAI CoSを通じて繰り返される問い合わせの原因を探り、それをもとに案内文から製品説明、ALFのナレッジやタスクまで見直し・改善していく予定です。
ダッシュボードも、Reencleの基準に合わせて作り直そうとしています。ボイスALFがどんな問い合わせをどう処理し、その結果がチームの業務にどうつながったのかを、Reencleが重視する観点で追いたいからです。こうしたダッシュボードのカスタマイズは、チャネルワークスのAI CoSとノートブックで実現できます。データを自分で加工しなくても、見たい指標を自然言語でリクエストするだけで確認できます。
「AIの解決率を高めることよりも、顧客体験のほうが大切だと考えています。ボイスALFによって、お客様が以前より少ない手間で問題を解決できるかどうか。それが私たちの成果であり、目標だといえます」— Reencle CXチーム チーム長 イ・ダソミ氏
【出典】
原文:AI 콜센터에 고관여 제품 상담 맡겨도 될까? '린클'의 보이스 AI 도입 후기
原文執筆:Lena(Content Marketer in Korea)
原文公開日:2026年9月29日
翻訳・編集:Aida(Marketing / SEO・LLMO in Japan)
※記事内の数値・役職は原文公開時点の情報です。