カスタマーサポートを外注orAI化?迷ったときの判断軸を解説
カスタマーサポートの外注とは、電話・メール・チャットなどの問い合わせ対応を外部の専門会社に任せることです。外注・AI・内製を量・波・難易度で使い分ける判断軸と、偽装請負や委託先監督義務など外注時の注意点を解説します。
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問い合わせ件数が増え続けているのに、採用がうまくいかず人手不足が解消しない。
そんな中で、「カスタマーサポートを外注すべきか、AIに任せるべきか」の判断に迷っていないでしょうか。
外注とAIには、それぞれ向いている業務があり、どちらか一方を選べばすべて解決するわけではありません。また、外注を選んだ場合は、委託先への指示の出し方次第で法的なリスクが生じることも。顧客情報の取り扱いで、思わぬ問題が起きるケースもあります。
本記事では、問い合わせの量・波・難易度という軸から、外注とAIの使い分け方を整理します。あわせて、委託先への指示で注意すべき偽装請負のリスクと、顧客情報を預ける際に自社が負う委託先監督義務を解説します。
カスタマーサポート体制の見直しを検討している方は、ぜひ本記事の内容をお役立てください。
カスタマーサポートの外注とは
カスタマーサポートの外注とは、電話・メール・チャットなどの問い合わせ対応を、外部の専門会社に任せることです。アウトソーシングや外部委託と呼ばれることもあります。
一次対応だけを任せる方法から、運用の設計まで含めて任せる方法(BPO)まであります。この章では、外注の種類と、外注を検討する企業が増えている背景を解説します。
一次対応とBPOの違い
一次対応の外注とは、電話やチャットの一次受付だけを委託する方法です。一方、BPO(Business Process Outsourcing)は、委託する業務の範囲がより広い方法です。
具体的には、問い合わせ対応の運用設計やKPI(重要業績評価指標)の管理まで任せます。どちらを選ぶかは、社内にどこまでノウハウを残したいかによって変わります。
なぜ外注を検討する企業が増えているのか?
問い合わせ件数の増加に、採用だけでは人員確保が追いつかなくなっているためです。
採用や育成には時間がかかるため、繁忙期に合わせて社内だけで人員を増やすのは現実的ではありません。そのため、社内採用だけに頼らない体制づくりとして、外注を検討する動きが広がっています。
国内のコールセンター市場を毎年調査している市場調査会社の矢野経済研究所によると、2024年度のコールセンターサービス市場は1兆517億円でした(2025年11月発表)。同調査では、労働人口の減少に伴うオペレーター不足が深刻化し、人材不足を背景に社内業務を外部委託したい企業のニーズが高まっているとされています。また、従来オペレーターが担ってきた業務はシステム化が進むとも分析されており、人手不足の受け皿は外注だけでなくAIにも広がりつつあります。
参考:矢野経済研究所「コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2025年)」
外注・AI・内製の使い分け判断軸
外注・AI・内製は、どれか一つが優れているわけではありません。問い合わせの量・波・難易度に応じて使い分けることが重要です。
この章では、判断の軸と、それぞれが向いている業務を整理します。
判断の軸は量・波・難易度の3つ
判断の軸は、問い合わせの量・波(繁忙期・営業時間外)・内容の難易度(定型か、判断が要るか)の3つです。加えて、ノウハウを社内に残したいかという視点も、判断を左右します。
判断軸 | 向いている選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
内容が定型的な問い合わせ | AI | 同じ質問に同じ回答を一次対応できるため |
問い合わせ量の波が大きい・営業時間外 | 外注 | 席数の増減で柔軟な人員配置がしやすいため |
判断が必要な相談・クレーム・改善につながる声 | 内製(社内) | 個別判断や商品改善への反映が必要なため |
量は、月あたりの件数と、1件にかかる時間で見ます。
件数が多く、同じ質問の繰り返しが多いほど、AIに任せたときの効果は大きくなります。
件数は多いが内容が一件ごとに違うなら、AIよりも人手の問題で、外注か内製で受ける量をどう確保するかという話です。
波は、月ごとの件数の振れ幅と、営業時間外に届く割合で見ます。
セールや新商品の発売、障害時には問い合わせが一時的に増え、ピークに合わせて人を抱えると平常時に余剰が出ます。
かといって平均に合わせると繁忙期の応答品質が下がるため、この振れ幅は外注で吸収し、営業時間外の定型対応はAIで受けるのが現実的です。
難易度は、FAQやマニュアルどおりに答えられるか、顧客ごとの事情を踏まえた判断が要るかで分けます。
返金や補償の可否・契約の変更・感情的なクレームのように、判断や配慮が要る問い合わせは人が担う領域です。なかでも権限や事業判断に関わるものは、社内に残しましょう。
加えて、ノウハウを社内に残したいかも判断を左右します。
新しい商品やサービスの立ち上げ直後は、想定していなかった問い合わせそのものが改善の材料になるため、すべてを外に出すと顧客の変化を事業側がつかみにくくなります。
一方、業務が成熟して問い合わせの大半が定型化しているなら、社内の担当者がすべてに答える必要性は下がるでしょう。
外注・AI・内製の特徴を比較
3つの選択肢は、得意なことと弱いところがはっきり分かれます。
自社がいま困っている行がどこかを見ると、寄せるべき選択肢が見えてきます。
観点 | 外注 | AI | 内製 |
|---|---|---|---|
始めるまでにかかること | 委託先の選定と研修 | FAQやマニュアルの整備 | 採用と育成 |
問い合わせ量の増減 | 席数で調整できるが、契約の範囲内 | 件数が増えても手間はほぼ変わらない | 人員の上限に縛られる |
営業時間外の対応 | 対応時間を広げるほど費用が増える | 時間帯に関係なく同じ品質で応答できる | シフトで人を確保する必要がある |
ノウハウの蓄積先 | 委託先に残りやすい | 自社のFAQとして残る | 自社の担当者に残る |
回答のばらつき | 担当者の習熟度に左右される | 同じ質問には同じ回答を返す | 担当者に左右されるが、是正しやすい |
個別判断・感情への配慮 | 人が対応できるが、マニュアルの範囲内 | 不向き。人への引き継ぎが前提 | 得意 |
費用の性質 | 件数や席数に応じた変動費 | ツールの利用料が中心 | 人件費が中心の固定費 |
たとえば、夜間の取りこぼしが課題なら「営業時間外の対応」の行、ベテラン頼みの品質が課題なら「回答のばらつき」の行が判断の重心になります。そのうえで、それぞれの強みと弱み、起きやすいつまずきを押さえておきましょう。
外注の強みと弱み
外注の強みは、採用や教育を自社で抱えずに人手を確保でき、繁忙期の増員や閑散期の縮小にも契約の範囲で対応できる点です。運用の経験がある事業者に任せれば、対応品質の標準化も期待できます。
一方で、次のつまずきが起きやすくなります。
ノウハウが委託先に溜まり、契約が終わると社内に残らない。FAQ・マニュアルの原本は自社で管理する
顧客の声が社内に届きにくくなる。対応ログの共有を、契約時に取り決めておく
規定の件数を超えた分の追加費用で、繁忙期に費用が膨らむ。件数は多めに見積もる
回答が担当者の習熟度に左右される。応答時間や一次解決率などの基準を決め、定期的に確認する
AIの強みと弱み
AIの強みは、営業時間外も含めて同じ品質ですぐに応答でき、件数が増えても手間がほとんど変わらない点です。同じ質問には同じ回答を返すので担当者による差が出ず、問い合わせの内容や件数がデータとして残るためFAQの改善にも使えます。
弱みは次の3つです。
個別の事情を踏まえた判断や、複数の要素が絡む相談には対応できない。人へ引き継ぐ基準と導線を先に決めておく
誤った内容を、正しいことのように答えることがある。料金・契約・法令に関わる回答は、人が定期的に確認する
導入して終わりではなく、商品やサービスが変わるたびに更新が要る。回答できなかった質問を見直す担当者を決める
内製の強みと弱み
内製の強みは、顧客の個別事情を踏まえた柔軟な判断ができ、問い合わせから得た気づきがそのまま商品やサービスの改善に回ることです。
ノウハウも自社の担当者に残る一方、弱みは人手不足と固定費です。
採用と育成に時間がかかり、繁忙期に合わせて人を増やせない
人件費が固定費として残り、問い合わせが減っても下がらない
対応が特定の担当者に属人化し、その人が抜けると回らなくなる。対応履歴を1か所に残し、誰でも引き継げる状態にしておく
費用を比べるときは、社員の人件費と委託単価だけを並べても判断できません。
採用・教育・シフト管理・管理者・システム・品質管理まで含めた総コストと、問い合わせ量の変動にどこまで対応できるかをあわせて見ます。
課金の仕組みは会社ごとに違うため、相場の金額だけで比べるのは避けてください。
定型業務はAIに任せられるのか?
FAQに沿って答えられる定型的な問い合わせは、AIに任せられます。ただし、AIには誤った内容を回答してしまうリスクもあります。
そのため、AIに任せた後も、回答内容を人が定期的に見直す体制が欠かせません。
繁忙期や営業時間外こそ外注が向く
繁忙期や営業時間外の問い合わせは、外注で受けることが向いています。
外注であれば、席数を増減させることで、量の波に合わせた柔軟な人員配置がしやすくなるためです。一方で、外注する場合も、回答の基準となるFAQやマニュアルは自社で管理することが重要です。
判断はどう進める?
最初にやることは、過去の問い合わせを分類して、量と波と難易度を数字で把握することです。感覚で「外注かAIか」を選ぶのではなく、次の順で進めると判断がぶれません。
過去1〜3か月の問い合わせを「定型」と「判断が要る」に分け、それぞれの件数を数える
月ごと・時間帯ごとの件数を並べ、繁忙期と営業時間外の割合を出す
定型はAI、量の波と営業時間外は外注、判断が要るものは内製と、業務ごとに割り当てる
回答の基準となるFAQ・マニュアルを自社で整え、委託先とAIの両方に同じものを渡す
外注やAIで解決しなかった問い合わせを、誰がどの基準で引き継ぐかを決める
現実的な落としどころは、AIが一次対応して解決しなかったものを外注が受け、判断が要るものだけを社内に回す組み合わせです。外注に出す件数そのものを、AIで先に減らせるためです。
割り当ては一度決めて終わりではなく、問い合わせの傾向が変わるたびに見直してください。
クレームや改善提案は社内に残す理由
クレームや改善につながる声は、社内に残すべきです。顧客の個別事情を踏まえた判断や、商品・サービス改善への反映が必要だからです。
この章では、外注やAIでは拾いにくい声について解説します。
外注やAIでは拾いにくい声とは?
個別の事情を踏まえた判断が必要なクレームや、商品・サービス改善につながる要望のことです。委託先やAIは、あらかじめ決められた基準に沿って対応することが中心です。
そのため、マニュアルにない例外的な事情や感情的な配慮が必要な対応は、人が担うほうが適しています。
また、改善提案につながる声は事業に近い立場の社員が直接拾うことで、商品やサービスへ反映しやすくなります。
外注先への指示で注意すべき点
業務委託では、発注者と委託先の作業者の間に指揮命令関係は生じません。
発注者が作業者に直接、業務の指示や命令をしていると、偽装請負とみなされる可能性があります。この章では、偽装請負の内容と、正しい指示の出し方を解説します。
偽装請負とは何か?
偽装請負とは、契約上は業務委託であるにもかかわらず、実態として発注者が委託先の作業者に直接指示している状態のことです。
よくある例として、発注者が作業者に細かい業務指示を出すことや、出退勤・勤務時間を管理することが挙げられます。
現場に委託先の責任者がいても、発注者の指示をそのまま伝えるだけであれば、同じ扱いになります。偽装請負は、発注者と受託者の双方が法律違反を問われる可能性があります。
法律の適用を免れる目的で業務委託の名目にしていた場合は、さらに注意が必要です。
この場合、発注者が作業者に労働契約を申し込んだものとみなされることがあります(労働者派遣法第40条の6第1項第5号)。
参考:
委託先への正しい指示の出し方
業務の指示や管理は、委託先が自ら行う形にすることが基本です。
同じツールで問い合わせを共有する場合も、個別の案件で委託先の作業者に直接指示を出さないよう注意が必要です。
指示系統を明確に分けることが、偽装請負を避けるポイントになります。
顧客情報を外注先に預ける際の注意点
顧客情報を委託先に預けるときは、委託先を監督する義務が自社にあります(個人情報保護法第25条)。この章では、監督義務の内容と、再委託時に必要な手続きを解説します。
委託先の監督義務とは?
委託先の監督義務とは、委託した個人データが安全に管理されるよう、委託先に必要かつ適切な監督を行う義務のことです(個人情報保護法第25条)。
必要な措置は、主に3つです。
適切な委託先を選ぶこと
契約を結ぶこと
委託先での取り扱い状況を把握すること
参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-4-4 委託先の監督
再委託時に必要な手続きとは?
委託先がさらに別の会社に業務を任せる場合は、事前に報告や承認を受ける形にしておくことが望ましいとされています。
再委託の状況を把握しないまま進めると、顧客情報の管理が行き届かなくなるおそれがあります。契約の段階で、再委託の可否や条件を明確にしておくことが重要です。
内製対応をAIで強化する方法
内製で対応を続けるには、人を増やさずに対応できる量を増やす仕組みと、顧客情報を扱う人が増えても情報を守れる仕組みの2つが必要です。
AIが定型の一次対応を引き受ければ、担当者は判断が要る対応に時間を使えます。
権限管理とマスキングがあれば、社員・アルバイト・委託先の作業者が同じツールを使っても、見せる情報を絞れるのが利点です。
顧客理解のためのAIエージェント「チャネルトーク」では、AIエージェント「ALF」が一次対応を、「役割・権限」と「問い合わせ内の個人情報マスキング」が情報の保護を担います。
この章では、それぞれの機能を解説します。
ALFで一次対応を自動化する
ALFは、自社のナレッジをもとに顧客と自然な文章で会話し、問い合わせを解決するチャネルトークのAIエージェントです。
発送時期の確認やサイズ交換の方法など、「定型」に分類した問い合わせを営業時間に関係なく任せられます。ナレッジにはFAQやマニュアルをドキュメント・PDF・Webサイトなどの形で登録するため、委託先に渡すFAQと同じものを使えば、人とAIの回答が食い違いません。
判断が要る問い合わせは、顧客が希望すればALFがオペレーターに接続します。引き継ぎ先は社内の担当者でも委託先のオペレーターでもよく、「判断はどう進める?」で決めた割り当てに合わせます。
成果は統計画面の関与率と解決率で確認する
関与率は全問い合わせのうちALFが関与した割合、解決率は関与した問い合わせのうちオペレーターに接続せずに終わった割合です。人に渡った問い合わせを見てナレッジを足していけば、委託先や社内が受ける件数を減らせます。
権限設定とマスキングで情報を守る
外注と内製のどちらでも、顧客情報を扱う人が増えるほど情報漏えいのリスクは高まります。「顧客情報を外注先に預ける際の注意点」の章で見た委託先の監督を実務に落とすうえで役立つのが、次の2つの機能です。
役割・権限
役割・権限は、チームメンバーごとに役割を割り当て、受信トレイ・顧客情報・チャネル設定などへのアクセス権限を役割単位で細かく分けられる機能です。
委託先のオペレーター向けに、受信トレイは担当する問い合わせだけ・顧客情報は閲覧のみ・チャネル設定は不可という役割を作れます。
これを割り当てれば、委託先が触れる個人データを必要最小限に絞れます。2026年10月の仕様変更では、委託先のオペレーターなど決められた範囲で協業するメンバーを安全に運用できるよう、権限がさらに細分化されました。
ご利用ガイドを読む
問い合わせ内の個人情報マスキング
問い合わせ内の個人情報マスキングは、顧客がチャットで入力した個人情報を保存前に自動で検知し、アスタリスクに置き換える機能です。対象はクレジットカード番号・マイナンバー・電話番号・メールアドレスなどで、項目ごとにオン・オフを切り替えられ、独自のルールも追加できます。
元のデータはサーバーにも残らないため、社内のチームメンバーも委託先の作業者も、顧客の個人情報を不要に閲覧できません。
マスキングは保存の直前に適用され、一度マスキングした情報は元に戻せません。どの項目を対象にするかは、設定前に実際の問い合わせ内容を確認して決めてください。
同じチャネルを委託先と共有する場合も、個別の案件で作業者に直接指示を出さないという「外注先への指示で注意すべき点」の章の原則は変わりません。
権限とマスキングで見せる情報を絞り、業務の指示は委託先の責任者を通す形にすれば、情報面と法務面の両方のリスクを抑えられます。
ご利用ガイドを読む
まとめ
問い合わせの増加への対応は、外注かAIか、どちらか一方を選べば解決する問題ではありません。問い合わせの量・波・難易度という軸で、業務ごとに使い分けることが重要です。
定型対応はAI、繁忙期や営業時間外は外注が向いています。判断が必要な相談やクレームは、内製で対応することが基本です。
あわせて、委託先への指示の出し方や、顧客情報を預ける際の委託先監督義務にも注意が必要です。これらを踏まえて体制を設計すれば、法的なリスクを抑えながら、効率と対応品質を両立できます。
チャネルトークのALFなどのAI機能を内製対応に取り入れることも、体制づくりの選択肢の一つになります。
まずは自社の問い合わせ内容を整理し、外注・AI・内製の組み合わせを自社に合わせて検討してみてください。
カスタマーサポート体制の見直しに、チャネルトークの資料をご活用ください
外注・AI・内製のどれを選ぶ場合も、回答の基準となるFAQと問い合わせの履歴を自社で持つことが出発点になります。チャネルトークは、AIエージェント「ALF」による一次対応の自動化と、権限管理・マスキングによる情報保護を1つのツールで提供しています。機能の全体像は、以下の資料でご覧いただけます。