dbtとは?仕組み・導入の技術要件・エンジニア不在で始める方法まで
Wookiee • 日本のビジネスに「AX」という新しいスタンダードを。チャネルトークのCOOとして、最新のAI技術を駆使し、企業と顧客の距離をより近く、よりスマートにするための変革を主導しています。AIの力で、誰もがクリエイティブに働ける未来を目指しています。
- AI Tips
- CS Tips
「dbt」という言葉を耳にして調べ始めたものの、ELT、データウェアハウス、SQLモデリングといった専門用語の壁にぶつかっていませんか。検索して出てくるのはエンジニア向けの技術ブログばかりで、「自分のチームでも使えるのか」という肝心の疑問には、なかなか答えが見つかりません。
dbt(data build tool)とは、データ分析の土台を整える強力なツールです。一方で、その導入には一定の技術要件と人材が求められることも事実です。
本記事では、dbtの基本概念から、導入に必要な技術スタック・人材、つまずきやすい現実的な壁までを、専門用語をかみ砕きながら整理しました。
さらに後半では、データエンジニアが不在でもデータ分析を始められる方法として、チャネルワークスのAI CoS(Chief of Staff)もあわせて紹介します。
dbtの導入を検討している方、エンジニアなしでデータ活用を始めたい方は、ぜひ本記事の内容をお役立てください。
dbt(data build tool)とは?基本概念をわかりやすく解説
dbtとは、データ分析の前段階として、蓄積されたデータを使える形に整えるツールです。この章では、dbtの基本概念、ELTパイプラインにおける役割、そして2つの提供形態の違いを解説します。
dbtはどんなツールなのか?
dbt(data build tool)とは、データウェアハウスに保存されたデータを、主にSQLを使って変換・加工するオープンソース発のツールのことです。SQLのほか、JinjaやYAMLといった技術も使用します。
わかりやすく言えば、散らばった生データ(Raw Data)を分析にすぐ使える形に整理してくれる「データ整備ツール」です。Excelに例えてみましょう。数十のシートに散らばったデータを、VLOOKUPが崩れないように自動でまとめてくれる。誰でもすぐ使えるマスターテーブルを作る役割だとイメージすると、理解しやすいはずです。
なお、dbtはデータそのものを収集・保存するツールではありません。すでにどこかに蓄積されているデータを、分析しやすい構造へ変換することが中心的な役割です。
ELTパイプラインにおけるdbtの役割
dbtは、ELTパイプラインの「T(Transform:変換)」を担当するツールです。
ELT(Extract-Load-Transform)とは、データを抽出(E)し、保存先に格納(L)したうえで、必要な形に変換(T)するデータ処理の流れのことです。
dbtはこの最終段階である変換(T)に特化しています。つまり、「データをどう貯めるか」ではなく「貯まったデータをどう使える形にするか」に集中するツールです。
段階 | 役割 | ツール・プラットフォーム例 |
|---|---|---|
E(Extract:抽出) | 元データの収集 | Fivetran、Airbyteなど |
L(Load:格納) | 収集したデータを保存先に格納 | 格納ツール:Fivetran、Airbyteなど |
格納先:BigQuery、Snowflake、Redshiftなど | ||
T(Transform:変換) | 分析用データへの加工 | dbt |
なお、2026年にはELTのE・L段階を担う代表的ツールのFivetranとT(変換)段階を担うdbt Labsが合併を完了し、ELTエコシステムはより緊密に連携が進んでいます。
dbt Coreとdbt Platformの違いとは?
dbtの提供形態は、オープンソースの「dbt Core」と管理型サービスの「dbt Platform」の2種類です。
区分 | dbt Core | dbt Platform(旧dbt Cloud) |
|---|---|---|
形態 | オープンソース(無料) | 管理型SaaS |
(無料のDeveloperプランあり。チーム運用・高度な機能は有料プラン中心) | ||
実行環境 | ローカルまたは自社サーバー | Webブラウザ |
設定の難易度 | 高い(自力での環境構築が必要) | 比較的低い(UIが提供される) |
適した対象 | データエンジニアがいるチーム | 一定の技術力があるチーム |
スケジューリング・監視 | 別のツールが必要 | 標準で提供 |
dbt Coreは自由度が高い一方、環境構築をすべて自力で行う必要があります。dbt PlatformはUIが用意されており、導入のハードルはやや下がります。
ただし、どちらの形態でもSQLの理解とデータエンジニアリングの基礎知識は必要です。
※dbt Labsは2025年から「dbt Cloud」を「dbt Platform」へとリブランディングしています。
dbt導入に必要な技術要件と人材
dbt導入には、SQLを中心とした技術スタック、データプラットフォームとの連携環境、そして運用を担う人材の3つが必要です。
この章では、dbt構築に必要な技術スタック、データプラットフォーム連携が必須である理由、運用に必要な人材と役割を順に解説します。
dbt構築に必要な技術スタック
dbtを実際に構築するには、ツールを1つインストールすれば終わり、というわけにはいきません。複数の技術要素がかみ合って、初めて正しく機能します。
基本的に必要となる技術スタックは以下のとおりです。
SQL:
dbtのモデルは基本的にSQLで記述します。簡単なモデルならSELECT、JOIN、CTEレベルでも始められますが、運用が高度化するほど複雑な結合・集計・ウィンドウ関数の理解が重要になります。
Python(任意):
一部のデータプラットフォームではPythonモデルも利用できます。ただし、対応状況や制約は使用するdbtエンジンとデータプラットフォームによって異なります。
Git・バージョン管理:
dbtプロジェクトはコードベースで管理されるため、Gitを使ったバージョン管理が事実上必須です。
コマンドライン(CLI)の使用経験:
dbt Coreはターミナルのコマンドで実行します。基本的なCLI操作に慣れている必要があります。
YAMLファイルの作成:
モデルの設定、テストの定義、ドキュメント化などはYAMLファイルで管理します。
なぜデータプラットフォーム連携が必須なのか?
dbtは単独では動作せず、データが蓄積されたデータプラットフォームと接続して初めて機能するためです。
データプラットフォーム(Data Platform)とは、データを保存・処理・分析できる環境のことです。BigQuery・Snowflake・Redshiftのようなデータウェアハウスだけでなく、Databricksのようなレイクハウス、データベース、クエリエンジンなどもここに含まれます。
つまりdbt導入の前に、自社のデータがどこに蓄積されているかを把握し、そのプラットフォームとの連携環境を先に整える必要があります。
運用に必要な人材と役割
技術スタックが揃っても、実際に運用する人材がいなければ、dbtはすぐに止まってしまいます。
dbtを安定的に運用するには、一般的に以下のような役割が必要です。
データエンジニア:
初期の環境構築、データウェアハウス連携、パイプラインの設計・保守を担当
アナリティクスエンジニア:
dbtモデルの設計とSQLの作成、データ品質の管理を担当
データアナリスト:
変換されたデータを実際の分析に活用する役割
小規模なチームでは、1人が複数の役割を兼ねることもあります。
しかし各役割に求められる技術水準は決して低くないため、担当者が不在だったり力量が不足していたりする場合、構築自体が頓挫するケースも少なくありません。
dbt導入でつまずく3つの現実的な壁
dbt導入でつまずく主な壁は、「エンジニア不在」「SQLとコード管理のスキル」「運用・保守コスト」の3つです。
この章では、それぞれの壁がなぜ生まれるのか、導入前に知っておくべき現実を解説します。
エンジニア不在で導入するとどうなる?
データエンジニアがいなくてもdbtを始めることはできますが、運用環境まで安定させるには想像以上に多くのものが必要になります。
データプラットフォームへの接続、プロファイル設定、モデル構造の設計と続く工程には、相応の技術的な理解が求められます。
Gitでの共同作業、テスト・ドキュメント化の体制まで整えるなら、なおさらです。
こうした基盤を持たないチームでは、初期構築や保守の負担が想定を超え、途中でプロジェクトが止まってしまうケースも少なくありません。
SQLスキルとコード管理のハードル
dbtを使うということは、SQLでデータ変換のロジックをコードとして管理することを意味します。
単純なSELECT文だけでなく、複雑な結合・集計・ウィンドウ関数などを扱える必要があります。さらに、Gitを使ったバージョン管理、YAMLファイルの作成、テストコードの記述まで求められます。
マーケターやビジネス職の担当者からすれば、「データ分析がしたかっただけなのに、気づけば開発者になっていた」という状況にもなりかねません。
SQLに不慣れなチームでは、dbt導入の前にSQL教育から始めなければならないことも多いのです。
運用・保守コストが想定より大きい理由
dbt構築は「一度作れば終わり」ではなく、継続的な保守が必要になるためです。
データの源泉(ソース)が変わったり、ビジネスロジックが変更されたりすれば、dbtモデルも合わせて修正しなければなりません。
パイプラインにエラーが発生した際、原因を追跡して修正する作業にも専門的な力量が求められます。
初期構築の費用に加えて、以下のようなコストが継続的に発生します。
運用担当者の人件費
データウェアハウスの利用料
監視(モニタリング)ツールの費用
そもそも日本では、こうした業務を担える人材の確保自体が容易ではありません。
IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」によれば、日本企業の85.1%でDXを推進する人材が不足しています。
データエンジニアの採用が難しい中堅企業にとって、この保守負担はdbt導入を断念させる主要な要因の1つです。
dbtなしでデータ分析を始める方法
SQLやデータエンジニアがいなくても、データ分析を始める方法はあります。
その1つが、Channel Corporationが提供するAIワークスペース「チャネルワークス」の AI CoS(Chief of Staff)です。チャネルワークスは、散在するデータの分析からマーケティング実行までを担う業務プラットフォームです。
この章では、AI CoSの概要、活用の流れ、dbt構築との比較を解説します。
AI CoSとは?
チャネルワークスのAI CoSとは、散在するビジネスデータを1か所につなぎ、自然言語で質問するだけでAIが分析とインサイトを提供するデータ分析ツールのことです。
dbtのようにSQLを自分で書いたり、データパイプラインを構築したりする必要はありません。Shopify・CRMのデータ、BigQueryなどの外部カスタムデータベース、CSV・Excelファイルなど、チームが持つデータを連携またはアップロードして分析に活用できます。
連携方式や対応範囲はデータソースごとに異なる場合がありますが、AIがデータを自動で分析し、ビジネスインサイトを導き出す点は共通です。
専任のデータエンジニアやSQLの力量がなくても、データ分析の環境を整えられることが大きな特長です。
データ接続から自然言語分析までの流れ
AI CoSの使い方は、大きく3つのステップに分かれます。
データの連携・アップロード:
外部プラットフォームを連携するか、CSV・Excelファイルを直接アップロードします。ETLの設定やコーディングは不要です。
自然言語で質問:
「先月最も売上が高かった商品は?」「チャネル別のコンバージョン率を比較して」のように、普段の言葉で質問します。SQLクエリを書く必要はありません。
インサイトの確認・活用:
AIが分析結果とインサイトをテキストやチャートで提供します。結果をもとに、すぐ意思決定に活かせます。
ステップ | AI CoSで行うこと | 必要な技術力 |
|---|---|---|
データの連携・アップロード | プラットフォーム連携またはファイルアップロード | 不要 |
自然言語で質問 | 日常の言葉で分析を依頼 | 不要 |
インサイトの確認 | AI分析結果の閲覧・活用 | 不要 |
dbt構築とAI CoS導入の比較
dbt構築とAI CoS導入は、目的とチームの状況によって適した対象が異なります。
区分 | dbt構築 | AI CoS導入 |
|---|---|---|
必要な技術力 | SQL・Python・Git・データエンジニアリング | SQL・コーディング不要 |
初期構築の期間 | 数週間〜数か月 | ファイルアップロード型ならすぐに開始可能 |
運用人材 | データエンジニア・アナリティクスエンジニアが必要 | 専任データエンジニアなしでも開始可能 |
カスタマイズの自由度 | 高い | 製品がサポートする範囲でAI自動処理・自然言語分析を提供 |
適したチーム | 技術力を持ち大規模データ処理が必要なチーム | 非技術職・素早い分析環境が必要なチーム |
dbtは、大規模なデータを精緻に扱いたいチームにとって強力なツールです。
一方、データエンジニアが不在だったり、すぐに分析環境を整えたかったりするチームには、AI CoSが現実的な出発点になります。
「完璧な環境」を待って分析そのものを先送りするより、今すぐ使えるツールで始めるほうが良い選択になり得ます。
dbtなしでの自社のデータ分析にご興味がある方は、まずはチャネルワークスのサービス概要をご確認ください。
AI CoS導入事例:Bullsone Mall
AI CoSの効果を示す実例として、韓国のカー用品専門EC企業Bullsone Mall(ブルスワンモール)の導入事例を紹介します。
データエンジニアなしでデータ活用を始めた、本記事のテーマを体現する事例です。
Bullsone Mallを運営するBullsone社は、2001年設立の自動車用品を専門に研究・開発・販売する企業です。自社ECのBullsone Mallは新製品や会員限定商品を展開し、急成長を続けています。
導入前の課題:レポート1件に最低6日
同社のD2Cチームは、自社ECと外部モールの運営で売上・注文・広告・VOC(顧客の声)まで膨大なデータを扱っていました。しかしデータが増えるほど、次の課題が深刻になっていきました。
データが6か所以上に散在し、レポート1件に100万件超のデータをExcelで手作業マッチング
作業中にExcelが固まると、最初からやり直し
社内にデータチームがなく、セキュリティ上の理由で外部の生成AIツールも使用不可
その結果、月次レポート1件の作成に最低6日かかり、苦労して作ったレポートも大半が一度きりで終わっていました。
なぜAI CoSを選んだのか?
同社は、複数のデータ分析ツールの中からチャネルワークスのAI CoSを選び、PoC(試験導入)として活用を開始しました。決め手は、販売データ分析からCRM、マーケティングまで1つにつながる拡張性でした。
同社はすでにチャネルトークを利用しており、蓄積された相談データをそのまま活かせる点も選定理由となりました。
実際の活用方法と得られた成果
同社はAI CoSを、主に3つの方法で活用しています。
散在する内部データの統合:
EC管理画面やGoogle Analyticsなどのデータを渡すと、AI CoSがデータ間の関連性を自動で見つけて突合
ノートブックで外部データまで拡張:
ノートブックとは、AI CoSと対話しながら分析結果をダッシュボードのように可視化する機能のこと。天気データを取り込み、販売データと掛け合わせた分析まで数分で実行
相談データとの結合:
問い合わせ類型別の推移と売上データを合わせて分析し、顧客理解を立体化
象徴的なのが、車載用サンシェードのキャンペーンです。
AI CoSに天気と販売の相関を尋ねると、「気温32度が3日以上続くタイミングで最も売れる」という分析結果が返ってきました。
その条件に合致した日にCRMプッシュ通知を送ったところ、クリック率は通常キャンペーンの約4倍、対象商品の1日平均売上は15倍(テスト配信基準)に達しました。
得られた成果をまとめると、以下のとおりです。
データ集計・分析にもとづくレポート作成時間:最短6日 → 約5分に短縮
1日平均売上:車載用サンシェードのキャンペーンで15倍に向上(テスト配信基準)
CRMプッシュ通知のクリック率:同キャンペーンで約4倍に向上
地域インサイトの発見:カーマットは済州(チェジュ)、洗車用品は蔚山(ウルサン)で需要が高いことを特定し、施策の投下先を「勘」からデータへ転換
組織の変化:会議で疑問が出れば誰もがその場でデータを確認する文化を実現
専任のデータチームがなくても、SQLが書けなくても、これらの変化は実現できました。データをつなぎ、自然言語で質問する。その一歩からすべてが始まっています。
まとめ:データ分析は複雑に始めなくてもいい
dbtとは、ELTパイプラインの変換(T)を担い、蓄積されたデータを分析に使える形へ整えるツールです。
SQLとコードを基盤に、データ品質と再利用性を高められる強力な選択肢である一方、導入にはSQL・Git・データプラットフォーム連携といった技術要件と、それを運用する専任人材が欠かせません。
技術体制が整ったチームには有力な選択肢ですが、人材不足のなかで今すぐデータ分析を始めたいチームには、構築のハードルが壁になり得ます。
その場合の現実的な出発点が、チャネルワークスのAI CoSです。
Bullsone Mallの事例が示すように、SQLもデータエンジニアもなしで、データ連携と自然言語の質問だけで意思決定を変えられます。
データ分析は、大掛かりなシステムを揃えなくても始められます。まずは手元のデータで、最初の一歩を踏み出してみてください。
自社のデータ分析にご興味がある方は、まずはチャネルワークスのサービス概要をご確認ください。