コールセンター立ち上げガイド|目的設定から運用開始まで
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コールセンターの立ち上げを検討する際、「何から手をつければいいのかわからない」と悩む方は少なくありません。
コールセンターの立ち上げには、明確な目的の設定、システムやインフラの構築、オペレーターの採用と研修が必要です。詳細な手順や課題を把握してスムーズに開設を進めましょう。
本記事では「目的設定→全体設計→立ち上げ実行」の3段構造で、コールセンター立ち上げに必要な手順を実務目線で解説します。必要なシステムの選び方、内製と外注の判断ポイント、費用構造、よくある課題への対処法まで紹介します。
コールセンターの立ち上げを検討されている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
コールセンター立ち上げの基本
コールセンターの立ち上げでは、目的設定からシステム構築、人材確保までを計画的に進める必要があります。事前準備の丁寧さが、その後の運用品質を大きく左右します。
この章では、立ち上げの定義と、押さえておきたい5つの基本ステップについて解説します。
コールセンター立ち上げの仕事内容とは?
コールセンター立ち上げでは、目的設定・システム構築・人材採用と研修を経て、対応体制を新設します。
たとえば、電話対応窓口を新たに設けるケースも、この立ち上げに該当します。
単に電話番号を用意するだけでなく、業務プロセスや人員体制の設計まで含めて考える必要があります。
コールセンターは、顧客対応の専門窓口として、顧客と企業をつなぐ接点となる存在です。対応の質が顧客満足度や企業への信頼感を左右するため、「企業の顔」として顧客体験に大きな影響を与えます。だからこそ、立ち上げ段階での丁寧な設計が重要になります。
立ち上げに必要な5つのステップ
コールセンター立ち上げは、目的設定・現状分析・設計構築・人材確保・運用改善の5つのステップで進めます。
目的の設定:センターのゴール(KGI・KPI、詳細は次章で解説)を決めます
現状分析:既存の課題や、電話・チャットなど必要なチャネルを整理します
設計構築:業務プロセスや、PBXなどの必要なシステムを導入します(詳細は後述)
人材確保:オペレーターの採用とマニュアル作成、研修を行います
運用改善:稼働後に検証を重ねて、応対品質を高めます
各ステップの詳細は、次章以降で順番に解説します。
目的設定とKGI・KPIの決め方
目的設定とは、コールセンターを立ち上げる目的やゴールを明確にすることです。
KGI(重要目標達成指標)・KPI(重要業績評価指標)とは、そのゴールを数値で可視化するための指標のことです。以降、本記事ではこれらを「KGI」「KPI」と表記します。
この章では、目的設定が重要な理由と、KGI・KPIの具体的な決め方について解説します。
なぜ目的設定が重要なのか?
目的設定が重要な理由は、その後の設計・構築の方向性がすべて目的に基づいて決まるためです。
たとえば「顧客満足度の向上」を目的にする場合と、「対応件数の増加」を目的にする場合では、必要な体制が異なります。前者は応対品質を重視した設計に、後者は効率重視の設計になります。
目的が曖昧なまま進めると、後から方向性の修正が必要になります。結果として、余分なコストや工数が生じやすくなります。
そのため、まず目的を明確にしてから、次のステップに進みましょう。
KGI・KPIの設定方法
KGI・KPIの設定方法は、まず最終目標であるKGIを決め、そこから逆算してKPIを分解する手順が基本です。
KGIの設定:
センターとして最終的に達成したい目標を決めます。
(例:応答率の改善、顧客満足度の向上など)
KPIの分解:
KGI達成に必要な中間指標を複数設定します。
(例:応答率、平均処理時間、解決率など)
定期的な追跡:
設定したKPIを定期的に測定し、KGIとのズレがないか確認します。
KPIは、立ち上げ後の運用改善フェーズでも重要な役割を持ちます。
次章以降で解説する設計・構築の内容も、この目的設定を土台に進めていきます。
全体設計と必要システムの選び方
全体設計とは、業務プロセスや必要なシステムを具体的に決めていく工程です。
あわせて、コールセンターの設置形態も検討します。
設置形態は、専用の拠点で業務を行う「拠点型」、オペレーターが自宅で業務を行う「在宅型」、両方を組み合わせる「ハイブリッド型」、社内にコールセンターを設ける「拠点常駐型」の4つに大別されます。
どの形態を選ぶかによって、必要なシステムや設備も変わります。
電話対応の基盤となるのが、構内交換機(PBX)・コンピューター電話統合(CTI)です。
適切なシステムを選定することで、立ち上げ後の運用がスムーズになります。
この章では、現状分析で確認すべき項目、必要なシステムの機能、そして構築費を抑える方法について解説します。
カスタマーサポートの現状分析で確認すべき項目
現状分析で確認すべき項目は、既存の業務課題と対応が必要なチャネルの整理です。
既存の対応窓口で発生している課題を洗い出し、電話対応を追加する上で何が不足しているかを明確にします。たとえば、応答漏れの多さや、対応履歴の一元管理ができていない点などが挙げられます。
課題を具体的に把握できれば、次の設計フェーズで導入すべきシステムの要件も明確になります。
なお、近年は従来の電話対応に加えて、チャットやメールなどデジタルチャネルとの融合が進んでいます。現状分析の段階で、電話以外にどのチャネルが必要かも整理しておくと、後の設計がスムーズです。
インバウンド(受電業務)に必要なシステム
コールセンターの業務は、顧客からの問い合わせに対応するインバウンド(受電業務)と、顧客に電話をかけるアウトバウンド(発信業務)に大きく分かれます。
どちらが中心かによって、必要なシステムの構成は変わります。
本記事で扱う問い合わせ窓口の立ち上げでは、インバウンドが中心となります。PBX・CTIをはじめとする複数のシステムが必要で、特に着信の振り分けと顧客情報の表示が対応品質を左右します。
PBX(構内交換機)は、外部からの電話を各内線に振り分ける交換機のことです。
CTI(コンピューター電話統合)は、電話とパソコンを連携させ、着信時に顧客情報を自動表示する技術を指します。
それに加えて、CRMのような顧客情報を一元管理するシステムの導入も必要になります。
PBX:内線と外線をつなぎ、着信を振り分ける交換機
CTI:電話とパソコンを連携し、顧客情報を自動表示する技術
CRM:顧客の情報を一元管理するシステム
これらのシステムが連携することで、オペレーターは顧客対応の質を高めながら業務を効率化できます。
システム構築費を抑える方法
システム構築費を抑える方法は、オンプレミス型ではなくクラウド型のシステムを選ぶことです。
オンプレミス型とは、自社内にサーバーや専用機器を設置して運用する形態のことです。
これに対してクラウド型とは、インターネット経由でシステムを利用する形態のことで、サーバーなどの専用機器を自社で設置・保守する必要がありません。
従来のオンプレミス型PBXは、専用機器の購入や設置工事が必要となり、初期費用が大きくなりがちです。一方、クラウド型のシステムであれば、機器の設置が不要なため、初期費用や工数を抑えられます。
システム構築費を抑えつつ業務を効率化する方法
近年では、コールセンターにおける人材不足や働き方の柔軟化を背景に、効率化を実現するシステムへの投資ニーズが高まっています。
クラウド型で構築コストを抑えつつ、業務効率化につながる選択肢の一つが、「チャネルトーク」です。
チャネルトークに搭載されている「Meet」は、クラウド型の電話機能で、電話回線や有線電話機の設置が不要なため、システム構築のコストを抑えることができます。
(※専用のオフィス電話機を設置せずに電話対応を始められますが、電話機能の利用には050番号の発行が必要で、番号利用料や発信通話料が発生します。)
さらに、通話終了後は内容が自動で録音・テキスト化されます。連絡先管理に登録されている電話番号からの着信であれば、顧客情報と連携して確認できます。通話は受信トレイに記録されるため、対応履歴の確認や引き継ぎがスムーズになります。
従来のPBX・CTIのような大掛かりな設備投資をせずに、電話対応の基盤を整えられます。
導入時の工数や初期コストを抑えたい方は、こうしたクラウド型のシステムも選択肢に入れて検討してみてください。
内製と外注の選び方・判断基準
コールセンターを立ち上げる際の内製と外注の選び方は、自社のリソースと目的に応じて判断することが基本です。内製は柔軟な運用ができる一方、コストや工数がかかります。外注は専門性を活用できますが、情報連携の設計が必要です。
この章では、内製と外注それぞれのメリット・デメリット、そして選び方の判断基準について解説します。
内製のメリット・デメリット
内製の大きなメリットは、自社の状況に応じて柔軟に運用を調整できる点です。業務プロセスやシステムを自社で管理するため、変更や改善をすぐに反映できます。
一方で、システム導入費や人件費など、初期投資と運用コストの負担が大きくなりやすい点がデメリットです。
外注のメリット・デメリット
外注のメリットは、専門知識やノウハウを持つ企業に運用を任せられる点です。
自社で人材を育成する必要がなく、比較的短期間で立ち上げが可能になります。
一方で、社内に運用知識が蓄積されにくく、委託先との情報連携をどう設計するかが課題になります。
内製と外注どちらを選ぶべきか?
内製と外注のどちらを選ぶべきかは、自社が重視する軸によって変わります。
コスト・スピード・品質管理のしやすさという3つの観点から、自社の優先順位を整理することが判断の助けになります。
観点 | 内製 | 外注 |
|---|---|---|
コスト | 初期投資が大きい | 初期費用を抑えやすい |
スピード | 立ち上げに時間がかかりやすい | 比較的短期間で開始できる |
品質管理のしやすさ | 自社基準で管理しやすい | 委託先との連携設計が必要 |
自社のリソースや目的を踏まえ、どちらが適しているかを検討してみてください。
人材確保と運用開始のステップ
人材確保と運用開始のステップでは、採用・研修と、稼働後の品質管理を並行して進める必要があります。丁寧な準備が、立ち上げ後のトラブルを防ぐことにつながります。
この章では、オペレーターの採用と研修の進め方、そして運用開始後の品質管理の方法について解説します。
オペレーターの採用と研修
オペレーターの採用と研修は、業務マニュアルの整備とセットで進めることが重要です。
採用時には、対応してもらう業務内容や求めるスキルを明確にし、募集要項に反映します。研修では、応対の基本フローや、よくある問い合わせへの対応方法を実践形式で伝えます。
併せて、対応手順をまとめたマニュアルを整備しておくことで、教育の効率も高まります。
矢野経済研究所によると、コールセンター業界では人材不足が業種・規模を問わず直面する構造的な課題とされています。採用や教育にかかる負担を見据えて、早めに計画を立てておくことが望ましいでしょう。
参考:コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2025年)-矢野経済研究所
運用開始後どう品質管理する?
運用開始後は、対応時間や解決率などの指標を定期的に確認しながら品質管理を行います。具体的には、初動までの時間や、問い合わせが解決するまでの時間を可視化し、KPIとして追跡します。データが蓄積されることで、対応品質のばらつきや、改善が必要なポイントが見えやすくなります。
こうした運用を支えるのが、チャネルトークに蓄積された問い合わせデータを分析・可視化するチャネルワークスの「問い合わせ別統計」です。
チャット問い合わせの初動までの時間、問い合わせ終了までの時間、対応件数、ゴール達成状況、担当者ごとのパフォーマンスは「問い合わせ別統計」で確認できます。
電話の応答率、サービスレベル、平均待機時間、平均通話時間、平均後処理時間などは「電話別統計」で確認できます。データはエクセル形式でダウンロードもできるため、社内共有や改善会議にも役立ちます。
また、コールセンターは単なる電話応対の場ではなく、業務改善に貢献する部門でもあります。顧客からの問い合わせをデータ化して分析し、顧客の声(VoC)を商品やサービスの改善に活かすことで、センターの価値はさらに高まります。
さらに、チャネルワークスの「AI CoS(Chief of Staff)」を活用すれば、問い合わせ対応データや、注文・決済・マーケティングなどのデータ、連携した外部データソースをもとに、自然言語で質問しながら分析できます。表やグラフで結果を確認することも可能です。
ダッシュボードの数値を読み解く前の段階から、AIに気になる点を尋ねられるため、専任の分析担当がいない立ち上げ初期でも、データに基づく改善を進めやすくなります。
運用開始後も定期的に指標を見直し、継続的な改善につなげていきましょう。
コールセンター立ち上げの費用構成
コールセンター立ち上げの費用構成は、内製か外注かによって費用構造が大きく異なります。
この章では、内製・外注それぞれの費用構成と、検討時の考え方について解説します。
内製の費用構成はどうなる?
内製の費用は、システム導入費・設備費・人件費など複数の要素で構成されます。
具体的には、PBX・CTIなどのシステム導入費、電話機やパソコンなどの設備費が中心です。これに加えて、オペレーターの採用や研修にかかる人件費も重要な要素になります。
規模や導入するシステムによって費用は大きく変動するため、自社の要件に応じて見積もることが大切です。
外注の場合の費用構成
外注の場合の費用構成は、委託先の料金体系によって異なります。
従量制の場合は、対応件数に応じて費用が発生する仕組みになっています。固定制の場合は、月額料金のため費用をあらかじめ把握しやすいという特徴があります。
自社の対応件数の見込みに応じて、どちらの料金体系が適しているかを検討しましょう。
観点 | 内製 | 外注 |
|---|---|---|
主なコスト構成 | システム費・設備費・人件費 | 委託料(従量制または固定制) |
コストの予測しやすさ | 変動要素が多く見積もりにくい場合がある | 料金体系により予測しやすい場合がある |
立ち上げ後の柔軟性 | 自社基準で調整しやすい | 委託先との契約条件に依存する |
具体的な費用感は、システム選定や委託先の見積もりによって変わります。
複数社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
立ち上げの注意点とよくある課題
コールセンターの立ち上げでは、人材不足とシステムの複雑化が代表的な課題です。事前に対策を検討しておくことで、スムーズな運用につなげられます。
この章では、人材不足への対策、AIを活用した対応力の補完、そしてシステムの複雑化を防ぐ方法について解説します。
人材不足への対策
人材不足への対策は、採用チャネルの多様化と、業務の効率化を組み合わせることが基本です。前章で触れたとおり、コールセンター業界では人材不足が構造的な課題となっています。
採用面では、正社員だけでなく、パート・派遣など複数の雇用形態を組み合わせる方法があります。業務面では、対応業務の一部をシステムに任せることで、限られた人員でも運用しやすくなります。
人材不足を補うAI活用
人材不足を補う方法の一つが、AIによる問い合わせ対応の一部代替です。
ここで活用したいのが、チャネルトークのAIエージェント「ALF」です。
ALFは、チャットでの定型的な問い合わせに対して、蓄積されたナレッジをもとに自動で回答します。予約変更や注文キャンセルなど、あらかじめ設定したタスクであれば自動での処理も可能です。
さらに電話対応には、オペレーターに代わってAIが応対する「ボイスALF」を活用できます。ただし現時点では、複雑な問い合わせについては、オペレーターへの引き継ぎを前提とした運用が適しています。
AIを活用することで、限られた人員でも一定の対応力を確保できます。
システムの複雑化はどう防ぐ?
システムの複雑化を防ぐには、必要な機能を厳選し、シンプルな構成を保つことが重要です。複数のツールを個別に導入すると、連携や管理が煩雑になりやすくなります。
チャネルトークのように必要な機能が一つのプラットフォームにまとまっていると、運用の負担を抑えられます。
システムを選定する際は、将来的な拡張性も踏まえて検討するとよいでしょう。
まとめ
コールセンターの立ち上げは、「目的設定→全体設計→立ち上げ実行」の3段構造で進めることで、迷わず着実に前進できます。
目的設定でKGI・KPIを明確にし、全体設計でPBX・CTIなど必要なシステムを整理し、内製と外注のどちらが自社に適しているかを判断することが土台になります。
人材確保と運用開始後の品質管理、費用構成の把握、人材不足やシステムの複雑化といった課題への備えも欠かせません。
システム導入ではチャネルトークの電話機能「Meet」や、チャネルトークに蓄積された運用データを可視化するチャネルワークスの「問い合わせ別統計」といった仕組みを活用すれば、システム構築の負担を抑えながら、立ち上げ後の改善もスムーズに進められます。
コールセンターの立ち上げを検討されている方は、まずは目的設定から着手し、一つずつ段階を踏んで進めてみてください。