「スタートアップの"オペレーター"に届けるCSノウハウBook」の8回目の記事です。さて、今までは前もって知っておくと良いノウハウについて紹介し、スタートアップのカスタマーサポートの理想像イメージができてきたころかと思います。同時に、でも失敗したらどうしよう?という不安も生まれ始めたのでは?大丈夫です。問題が起きた時のノウハウも紹介します!
1回目:オペレーターの職種
2回目:会社で愛されるオペレーターの実務者としてのノウハウ
3回目:CEOが知るべきカスタマーサポート運営の基本原則
4回目:カスタマーサポートのマネージャーが知るべきTips4つ(KPIと心得)
5回目:カスタマーサポートをプロフィットセンターするマネージメント
6回目:スタートアップの成長を後押しするCSチームの目標の立て方
7回目:【成功事例】ユニコーンのCSのKPI達成までの過程
ノウハウがないCS立ち上げ時期、
イシューをチャンスに変えるには?
食品ECのカスタマーサポートが叫んでいます。お客様がうちの商品を食べて、お腹をこわしたそうです。返品を承り、新しい商品をお送りする旨をおつたえしたところ、
“お腹が痛いです。大事なイベントにも参加できなかったので補償してください!“
と言われました。食品という特性上、日ごろから商品に問題が生じたらすぐ対処していますが こういったケースは初めてで、どう対応すればいいかわかりません。万が一、SNSに投稿でもされたら...と思うと、気が気じゃありません。お客様が増えるほど、今後もこういった問題が増えていくと思うのですが、どう対処すべきでしょうか?
どんどん怖くなる一方です…
【対策】イシューが起きる前に整理しましょう
✔️自社のサービス全体に置ける"イシュー"とは?事前に定義しておこう
"イシュー"に蓋をしない習慣をつけましょう
非常状態に備えることが何よりも大切です。自社にとって最も問題となる事態はなにかを事前に定義するだけでも、見えない恐怖心を取り除き、落ち着いて対処することができます。
✔️"イシュー"をレベルごとに管理しよう
なんでもかんでも"問題"が緊急を要するわけではありません。すぐにでもCEOが対応すべき重大な問題もあれば、担当者が対応できる問題もあります。レベルごとに整理が必要な理由は、上手に対処するためです。イシューの緊急度と、問題解決する担当者を上手に組み合わせることが大切です。
マクドナルドやNaverなど、ユニコーンで初期からカスタマーサポートを担当してきたオペレーター べラ(チャネルトークのグローバル顧問)は、レッド・オレンジ・ブルー・グリーンの4段階にレベル分けしてイシューを管理していたといいます。
【対応】イシューが起きたら、次のように行動しましょう
✔️緊急度の高い"イシュー"こそ、まずは目の前のお客様に集中しよう
とても当たり前のことですが、お客様にフラストレーションが溜まっている状況では、一層迅速な対応が求められます。内部にどうクレーム報告するか心配する前に、まず目の前のお客様に集中するべきです。問題の全体像も掴めないまま、焦って席を外してはお客様は永遠に戻ってきません。
✔️"イシュー"を共有できる組織文化を早めにつくろう
よく喧嘩するカップルが長続きすると言うように、危機を乗り越えられる組織は成長できます。そのためには、みんながオーナーシップを持てる組織文化をつくる事が大切です。忙しい代表に声をかけにくい状況であっても、だからこそ代表を引き止めて、イシューを共有する主体性が求められるのです。特に完璧などないスタートアップにとって、
代表にとってもすごくありがたい存在です。
チャネルトークでは、"顧客中心文化"を掲げて、お客様の声を社内に届けることが社内文化になっています。ビジネスチャットに
- 顧客フィードバックを集める顧客フィードバックルーム
- イシューを報告するバグ報告ルーム
などをつくり、カスタマーサポートから上がってきた顧客の声やイシューを社内に瞬時に共有しています。これにより、開発チームがリリース作業をより厳しく改善したり、UX改善に対する責任感をもつようになりました。イシューは組織を一層強くします。
チャネルトークの顧客フィードバックを共有するビジネスチャット活用事例
【心構え】イシューに対するCSの心構えを整理しましょう
✔️誠意が見える反省
社名を掲げたSNS運用や広告をしていると、意図せず誰かを傷つけ炎上してしまうこともあります。CSのお客様対応がSNSに挙げられ、強く批判されることもあります。確かに間違ってはいた。間違いを十分に反省し、顧客層にインパクトのあるメッセージを与え続けて、イシュー以前に比べて大きく改善した姿を見せることもできます。
✔️お客様と、売り言葉に買い言葉は厳禁
お客様が問い合わせをする理由は、不満や不便さを表現するためです。まず顧客の立場に立って共感し、解決して差し上げたいという意思表示をしましょう。十分に共感してもらうだけでも怒りは静まるものです。
✔️クレームしたお客様をモンスターコンシューマーだと決めつけない
この人は元々モンスターコンシューマーだから!と考えれば、とても楽です。自分は被害者、悪いのはお客様。そんなマインドで、顧客を敵対視すれば、消火器で消せる火も山火事となってしまうのです。自分達が間違っているかもしれないという心構えを忘れずに。
✔️反省も責任感もない謝罪文は厳禁
すべて省略して"職員一同”なんて書かれた謝罪文を見かけます。これでは、許す相手も、間違いを問いただす相手も見えないまま、問題が残ってしまいます。謝罪しても悪口を言われてしまうのです。あなたの言葉で、あなたの責任でまずは誠意に謝罪することが大切です。
スタートアップも大企業も、イシューは必ず存在します。