カスタマーサクセス(CS)の立ち上げは、ハイタッチとチャットのカスタマーサポートから始めよう
著者:坂本彩(ayaaason)SaaSやサブスクリプションサービスが増えるなか、カスタマーサクセス(CS)が近年注目を集めており、カスタマーサクセス部門の立ち上げを行う企業が増えています。ただ、カスタマーサクセス(CS)の立ち上げのノウハウがない企業がほとんど、今回は立ち上げ時にまず取り組むべきこととしてハイタッチ🙌とチャットでのカスタマーサポート💬について解説します!
そもそもカスタマーサクセス(CS)とは?
近年、消費スタイルがモノ売りからコト売りに変化をしながら、サービスの利用分のみを月額などで支払うSaaSやサブスクリプションのサービスが増えてきました。セールス(営業)やマーケティングの手法もこの時代の流れに沿った形へと大きくシフトしています。
特に、従来のセールス(営業)やマーケティングでは追いきれない、顧客と中長期的な関係を構築してLTV(ライフタイムバリュー)と呼ばれる生涯における顧客のサービスへの支払額を増加させるアプローチが必要となっています。
※従来のモノ売りの事業においては、CAC(カスタマーアクイジションコスト)という顧客1人の獲得単価の回収を目指しますが、SaaSやサブスクリプションにおいてはサービスをアップデートしながら成長させるため、回収後にさらにLTV(ライフタイムバリュー)を伸ばして収益をあげる必要があります。また、LTVはCACの3倍以上をゴールとする必要があるといいます。
参照:新規事業におけるカスタマーサクセス部門の立ち上げ方
カスタマーサクセスに重要なCACとLTVの算出方法🖋
CAC(顧客獲得単価)の計算式📐
CAC=(一定期間の販売促進・広告費用+営業給与+代理店手数料+賞与+間接費)÷一定期間の新規顧客獲得数
参照:CAC(カスタマーアクイジションコスト)
LTV(ライフタイムバリュー)の計算式📐
LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間
参照:LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは?今更聞けない基本知識と計算方法を覚えよう
このLTVを伸ばすためには顧客がサービスに満足しているだけでなく、顧客自身がサービスの活用を通して、継続して利用するメリットを感じている必要があります。このLTVの最大化を担う部門や概念としてそれに社内で取り組むことをCS(カスタマーサクセス)と呼び、近年盛り上がりを見せています。
Google トレンドで見たカスタマーサクセスの検索キーワード数の推移
参照:Google トレンド
カスタマーサクセス(CS)の立ち上げは、
ハイタッチとチャットサポートから始めよう
CSの立ち上げ時に、何から取り組むべきか悩む企業が多いですが、ハイタッチとカスタマーサポートから取り組むべきと言われています。カスタマーサポートとしては、特にチャットサポート💬がいかに立ち上げ時に役立つかを解説します!
ハイタッチ🙌
そもそもカスタマーサクセスの手法として、大きく分けるとハイタッチとロータッチ、テックタッチがあります。"ハイタッチ"は、個別対応しながらサクセスするまでのコミットをするため、この3つのアプローチの中でもっとも、ターゲットとなる顧客層の抱える課題やその解決・サクセスさせるための手法に対する理解が深められます。
CSの立ち上げ期には、サービスを利用する顧客にとってのサクセスを定義します。サクセスの定義することで、CSの役割である顧客のサクセスのゴールを目指して迷いなく進めるようになります。
次に、サクセスロードマップというオンボーディング(導入支援)からアダプション(より適切な活用方法を提案)、エクスパンション(アップセル・クロスセルを提案)というカスタマーサクセスの成功までの実行計画を立てます。
また、顧客によって成功の基準は異なるため、導入後の最初のミーティング(キックオフミーティング)で、顧客と成功の基準とするKPIを策定して支援を始めることが多いです。
詳しい事例や解説は、ハイジのマーケティングとCS責任者の橋本さんのnote記事新規事業におけるカスタマーサクセス部門の立ち上げ方が参考になります!☝️
ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチの違い
ハイタッチ
個別対応かつよりプロアクティブにサクセスへと導きます。個々のお客様のビジネス課題やニーズを理解して適切な活用方法やサクセスまでのストーリーを描いた実行スケジュールを提案します。コストが多くかかるため、単価が高いサービスやエンタープライズ(大企業)向けの場合に最適です。
ロータッチ
個別対応ではあるが、スケールできる手段でサクセスへ導きます。例えば、メールや電話、チャットなどを連絡チャネルとし、より一度に複数企業・顧客の対応ができるようにオンボーディングと呼ばれる最初の導入支援や活用方法の提案を行います。また、セミナーやユーザーコミュニティにより、複数の顧客に一度に支援を行う場合もロータッチに含まれます。コストはハイタッチに比べると、減りますが対応ごとに人件費がかかるため、中規模の企業向けのサービスの場合に最適です。
テックタッチ
ツールを用いて、担当者を介さずに多数の顧客をサクセスへ導きます。例えば、FAQやオンボーディング(導入支援)促進コンテンツを提供して、担当者を介さずともお客様自らサクセスできるように導きます。多数の顧客に一斉にお知らせやコンテンツを配信することもあります。コストは抑えられますが、個別対応しないぶんサクセスの難易度が高まります。直感的でシンプルなサービスや顧客数の多いSMB向け・C向けのサービスの場合に最適です。
チャットのカスタマーサポート💁♀️💬
プロアクティブに顧客の課題解決やサクセスのために、コミットをするハイタッチとは反対に、顧客から来た質問に対して回答をするカスタマーサポートもカスタマーサクセスの立ち上げ期には取り組むべきです。チャットはwebサイトやSaaSの管理画面に設置ができ、細かな機能に関する質問を受けられます。そのため、ハイタッチのみでは見えてこない、操作上の不明点などを把握し、機能を直感的でシンプルに改善するためのヒントを得ることができます。
カスタマーサポートの対応チャネルは、主にメール(フォーム)や電話、チャットがありますが、もっともカジュアルに多くのVOC(Voice Of Customer)を得られ、テキストの分析がしやすいという意味で、チャットサポートを行う企業が増加傾向にあります💬
特に、カスタマーサクセス(CS)の立ち上げ期には、様々な顧客からの要望を収集してPMF(プロダクトマーケットフィット)やカスタマーサクセスの型を見つけていく必要があるため、特にカスタマーサポートに置いてチャットは必須です。
👉 チャット(チャネルトーク)でお客様のニーズ検証をした事例
以下で、改めて電話とメール、チャットのカスタマーサポートを比較してみましょう!
立ち上げ期のカスタマーサポートツールとして、電話・メールよりもチャットのメリットが大きい
電話📞
メリット💕
- 顧客の立場で、すぐに解決する
デメリット🙅♂️
- 一人ずつしか対応できないため、サポート人数を確保する必要がある
- 画面操作の画像を送れず、口頭で説明しなくてはならないので時間がかかる
- サポートの履歴が顧客側に残らない。サポート側でも録音となるため履歴を管理しにくい
メール✉️
メリット💕
- リアルタイム性がなく、サポート側のタイミングで返答ができる
- サポートの履歴が顧客側にもサポート側にも残る
デメリット🙅♂️
- 顧客の立場で、聞きたい瞬間に返事をもらえない
- 画面操作画像の添付などがしにくく、やり取りに時間がかかる
チャット💬
メリット💕
- 同時に複数人の対応ができる
- 画面操作画像や動画を提供して、容易にサポートできる
- リアルタイム性は実は高くない(平均初動時間は53分ほど)
- 履歴がテキストで残り、分析しやすい
デメリット🙅♂️
- 電話やメールに慣れている顧客の場合は、操作に手間がかかる
👉 CSに使われる代表的なチャットツール:チャネルトーク、intercom
👉 Zendesk・Intercom・チャネルトーク比較 導入すべきカスタマーサポートツール・チャットとは
カスタマーサクセス(CS)の立ち上げに
役立つツールマップ
チャネルトークは、カスタマーサクセス(CS)の立ち上げにどんなツールを使えば良いか悩んでいるという声を反映し、カスタマーサクセス(CS)に従事する担当者100人以上に、実際に使用しているカスタマーサクセス(CS)ツールのアンケートを実施しました。そして、それをまとめたカスタマーサクセスツールカオスマップを作成しました。ぜひ参考にすると良いです。
[PR] 日本初「カスタマーサクセス業界カオスマップ 2020年版」をチャネルトークとcoorumが公開
カスタマーサクセス(CS)の立ち上げの次に取り組むことは?
ハイタッチとカスタマーサポートの型化
立ち上げ後、軌道に乗り始めると次に目指すべきことは、カスタマーサクセスの型化です。なぜならハイタッチのCSとカスタマーサポートに頼り切ってしまうと、顧客が増えて成長するほど人員とコストを増やさざるを得ないからです。
カスタマーサクセスを型化して、新しいメンバーでもカスタマーサクセスをしやすいようにマニュアルを整えたり、そのマニュアルをコンテンツとして顧客に提供してセルフオンボーディング(お客様自ら導入して活用し始める)できるようにすることも大切です。
このカスタマーサクセスの型化に取り組み始めるタイミングを見極めるには以下のチェックポイントを確認しましょう!
- お客様がFAQやよくある質問を見ていない
- 反復する質問が全体の50%以上だと思う
- お客様とのミーティングの際、異なるお客様に同じ説明をしている
- リリースした機能が使われていない・気づいていない
- タイムリーなお客様へのサポート時に、毎回お客様とミーティングをしている
こういったことがチェック項目に当てはまる場合は、ハイタッチやカスタマーサポートの型化に取り組むべきだと思います!
(おまけ)カスタマーサクセス(CS)のKPIと失敗を防ぐ注意点
また、立ち上げ時に悩む点がKPI(重要業績評価指標)です。KPIの設定に失敗をすると、事業全体にも失敗にも結びつくため、失敗を避ける方法をおまけとしてお伝えします。
1.自社サービスに合わないKPIを設定しない
他社のカスタマーサクセス事例も増えていますが、そのまま自社のKPIとして設定すると危険です。
2.アクションに紐付けないKPIは設定しない
活動に対する評価基準としてKPIがあります。活動をしてからKPIの数字に反映されるのに時間がかかるKPIは設定してはいけません。
3.事業のフェーズによってKPIを調整する
事業フェーズによっても設定すべきKPIが変わります。定期的にKPIが今の事業フェーズにとって最適なのかを点検しましょう
カスタマーサクセスのKPIは何を設定するべき?KPIを設定する際の3つの注意点も紹介!
カスタマーサクセスの代表的なKPI
- Net MRR(月間経常収入)
- 解約率(チャーンレート)
- オンボーディング完了率
- ヘルススコア
- NPS
詳しい解説や計算方法は、カスタマーサクセスのKPIは何を設定するべき?KPIを設定する際の3つの注意点も紹介!をご覧ください!😊
いかがでしたでしょうか? カスタマーサクセス(CS)の立ち上げ方法として、ハイタッチとカスタマサポートから取り組むべきだという点、そしてその際に活用できるツール、最後に立ち上げ後に次に取り組むべきことについて解説しました。
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