“進化する老舗”SHIPSが掲げる「最高の普通を続ける」ということ

Harper • Marketing Manager

10月 18日

  • 活用事例

セレクトショップ御三家と呼ばれる「SHIPS」。

コロナ禍で打撃を受けたにもかかわらず、ファッション市場で成長を続けており、2025年には会社設立50周年を迎えます。お客さまに安心感と高揚感をいつまでも提供し続ける”進化する老舗”を目指したSHIPSならではの取り組みについて、チャネルトーク日本CEOの玉川がSHIPS 執行役員 経営企画室/DX・EC担当の大塚裕史氏にお話しを伺いました。

日本初のセレクトショップである、SHIPSはどのように誕生したのか

玉川: まずはSHIPSについて教えてください。

大塚さん: SHIPSは、1952年、東京・上野のアメ横で米軍払い下げ品を扱う小さな店としてスタートしました。創業者の三浦は、元々高校の国語教師という異色の経歴の持ち主でしたが、1970年に家業を継ぎ1975年に会社として正式に設立、1977年には銀座に「SHIPS」をオープンしました。日本初のセレクトショップとして、海外ブランドの直接仕入れを行い、当時の日本ではまだ珍しかった海外ブランドを先駆けて日本市場に持ち込み、若者を中心に爆発的な人気を獲得しました。

現在、全国に70店舗以上を展開しており、直近1年間の売上は約250億円になります。ブランド展開としては、SHIPSをメインに8つのブランドがあり、その中で6つのレーベルを展開しています。

玉川: SHIPSという社名の由来はあるのでしょうか?

大塚さん: 創業者である三浦が大分県の出身で、幼少期に海に近いところで育ったため船への憧れがあったこと、また、ビジネスを始めた当初、商品を船のコンテナで輸入していたことから、「ship」という英語を使った造語として「SHIPS」という社名をつけたと聞いています。

SHIPSの独自性と顧客サービスへのこだわり

玉川: SHIPSが他のセレクトショップと異なる特徴的なポイントはありますか?

大塚さん: 他社と比較して特別というわけではありませんが、おもてなしの心を持って接客すること、そしてお客さまの立場に立って考えることを徹底しています。

玉川: VIP顧客への対応に特別なノウハウはありますか?

大塚さん: スタッフの経験値が最も重要です。お客さま一人ひとりに合わせた対応が必要なので、単純にマニュアル化するのは難しいですね。

玉川: 以前、SHIPSで素晴らしい接客を受けた経験があります。これもスキルの一つなのでしょうか?

大塚さん: 心に残る体験はお客さまの満足度を高め、ブランドへのロイヤリティを高めます。人の心を動かすような行動は非常に大切で、接客に限らず様々な場面で気を配るようにしています。SHIPSではこのような細やかな配慮を通じて、お客さまとの深い関係性を築くことを心がけています。

自社ECに必要な要素なのは「いかにお客さまに利便性を提供できるか」

玉川: 2010年頃に自社ECを始めようとした判断について、「本当に必要なの?」や「集客はどうするの?」といった疑問があったと思います。始められた背景や理由を教えていただけますか?

大塚さん: 2005年頃にバックエンドのフルフィルメントをZOZOが提供するモデルを活用し、出品を始めたことがきっかけです。これなら簡単に始められますし、自社のノウハウも必要ありません。おそらく他の競合他社も同じような理由で始めたのではないでしょうか。

正直、かなり軽い気持ちでスタートしました。しかし、このモデルには「顧客データが全く分からない」という問題がありました。また、売上が伸びるにつれて手数料の問題も出ており、ならば「自分たちでECをやってみよう」と考えました。

玉川: 顧客データが取得できないため、自社のCRMも必要になり、自然と自社ECを始めようという流れになったのですね。

大塚さん: オムニチャネルやOMOといった考え方が出てきていますが、お客さまの視点に立てば、店舗でもECでも、どちらで購入しても構わないはずです。お客さまは欲しいものを、欲しい時に、欲しい方法で購入したいのです。それを実現するためには、自社ECサイトにもっと力を入れていく必要があります。

様々な専門用語が飛び交っていますが、原点は「いかにお客さまに利便性を提供できるか」というサービスの本質だと思います。そういった観点から、自社サイトの強化に力を入れたというのが主な理由です。

ECサイトでも店舗と同じような体験を提供

玉川:その他ECサイトでもSHIPSの商品を購入できると思うのですが、自社ECサイトで購入するお客さまの特徴はありますか?

大塚さん: リピート購入していただくお客さまが非常に多いですね。今年3月に会員向けのロイヤリティプログラムを大幅に刷新し、顧客の行動に基づいてインセンティブを提供する仕組みや、SHIPSでの買い物をより楽しくする工夫としてアクションポイントを導入しました。加えて、店舗とECサイトの差をなくしたいという思いから、チャネルトークを活用したチャット接客には特に力を入れています。

現在2つのブランドでチャット接客を始めていますが、かなりの規模で反響があることを実感しています。今後は我々が展開している多くのブランド、できれば全ブランドでこのサービスを提供したいと考えています。ECサイトでも店舗と同じような雰囲気や価値観で同じようなサービスを受けていただきたい、そういった環境を作りたいと思っています。

「正直、ツールだけなら他でも良かった」SHIPSがチャネルトークを選んだ理由

玉川:チャット接客サービスにはさまざまな選択肢があったと思いますが、その中でチャネルトークを選んだ理由は何ですか?

大塚さん:チャネルトークは他社と異なり、単なるサービスツールベンダーやツールメーカーではないと考えています。正直、ツールだけなら他でも良かったんです。しかし、最も重要なのはどのように実施し、どのような組織を作ればいいのか、といった根本的な部分です。

そういった点からサポートしていただけるのは、他社とは大きく異なる魅力だと感じました。さらに電話機能やAIの活用など、カスタマーサービス全体を包括的にサポートしてくれる会社だという点で、他社とは一線を画していると感じています。

オンラインチャットを活用することでサービス範囲を拡大

玉川: やはりオンラインのチャットでの問い合わせは、購入前のものが多いのでしょうか?

大塚さん: おっしゃる通り、購入前の問い合わせが多いですね。最も多いのがサイズに関する質問です。サイズ解決のためのツールを導入していますが、それだけでは解決しきれない部分があります。次に多いのが商品の色についてです。例えば、「黒」と表記されていても、「本当に黒なのか」といった質問があります。写真は光の加減で見え方が大きく変わりますからね。これはECサイトにとって難しい課題の一つだと思います。

現在、チャット接客を担当するスタッフは我々の物流センターに常駐しており、直接商品を確認することができます。我々が最も実現したいのは、お客さまに店舗と変わらない体験をしていただくことです。今後の展望として、例えば産休中の店舗スタッフが在宅でこの業務に携わるなど、サービスの範囲を広げていきたいと考えています。

▲実際の接客チャットの様子

プライベートブランドの企画時にもデータを活用

玉川: SHIPSではプライベートブランドが次々と増えていますが、生産時にデータをどのように活用していますか? また商品開発にデジタル技術を使用したりするケースはありますか?

大塚さん: データを見る習慣が定着しています。POSデータはもちろん、現在はCRMの顧客データも活用しています。例えばどの年齢層の男女がどの商品をよく購入しているかという傾向や、ある商品を購入する際に一緒に買われることが多い商品など、そういった情報を定期的に確認しています。またバスケット分析と呼ばれる手法を用いてセット買いの詳細まで細かく分析しており、こういったデータや分析手法を可視化し、商品開発に活かすことを心がけています。

SHIPSが次の50年へと掲げる「最高の普通を続ける」ということ

玉川: 最後に50年後の未来を考えた際、SHIPSではどのような世界を作りたいと考えていますか?

大塚さん: 昨年、全社員で会社の「パーパス」を再定義しました。全国の店長や本社の課長以上が集まり、「なぜ私たちはこの仕事をしているのか」という根本的な問いから始めて作り直しました。その過程で浮かび上がったキーワードが二つあります。一つは「100年企業になるために進化する老舗であろう」というもの。

もう一つは、それを実現するための「最高の普通を続けよう」というものです。「普通」と聞くと平凡に聞こえるかもしれません。しかし、同じリズムで同じクオリティの商品と接客を長期にわたって提供し続けることは、実は非常に難しいのです。それでも私たちは「最高の普通」であり続けたいのです。

この理念を掲げ、商品でも接客でも一貫性を持って実践していこうと、現在全社員に浸透を図っています。もちろん変化への対応は必要ですが、これこそが私たちが次の50年も掲げ続けるものです。私たち現在の社員はその時にはもういないでしょうが、次の50年へとバトンを渡す役割を担っているのだと考えています。

YouTubeでは、SHIPSが語る日本のセレクトショップが急成長した理由や、コロナ禍に開始し驚異のCV率80%を記録した施策なども紹介しています。ぜひあわせてご覧ください!

▼YouTube動画はこちら ※日本語字幕あり

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