Marry • CX Team Leader / Biz-dev
10月 17日
ECのグロース手法は年々増加するとともに、情報が煩雑化してしまい自社に最適な施策は何か、わからないと感じる事業者も多いのではないでしょうか。
そこで、チャネルトークではEC業界の有識者である、川添さん/Eコマース先生、河野さん/株式会社フラクタ、四元さん/PLAY Inc.代表、石郷さん/株式会社team145、北山さん/エース株式会社の5名に、ECの成長に必要な戦略をテーマにアンケートを行いました。
なお、本記事は「ECのスペシャリストに聞く!ECの成長に必要なカスタマードリブン戦略(ホワイトペーパー)」の一部抜粋となっております。 全編はご覧になりたい方はこちらからダウンロードください。
各コーナーでは学びが深めらるように解説コメントも掲載しており、消費者の動向などの情報から、自社ECはどうあるべきか、何に取り組めば良いのかのヒントが得られます。
>2021年、オンライン上の接客はどのような動きが見られた1年だったと考えていますか。 川添さん:全体像としては解釈が広がった1年でした。SNSでのライブ配信やライブコマース、スタッフコーデなども含めて
**オンラインを通じた接客の概念が拡張**
し、各々で取り組みが増えました。ツールサイドとしては、より安価なツールが増えて、クライアントが使いやすい環境となったと思います。事業会社サイドとしては、各社が優先順位をつけて行うようになりました。ただし、中堅~大手におけるチャットやライブコマースなどの導入は一部にとどまっている印象です。
🗣解説
オンライン接客の手法は多岐にわたるようになりました。動画によるわかりやすい商品紹介や、顧客の質問にリアルタイムで回答するなど、自社ECならではの顧客体験の価値向上に努めている企業は増えています。そして事業者のオンライン接客を支えるツールのレベルも向上しています。顧客ニーズを把握し、どのような接客体験を自社サイトで構築するかは改めて考えないと、最適な顧客体験を提供するのは難しいのかもしれません。
石郷さん:オンライン接客に関してはコロナ禍でその「向き合い方」に頭を働かせた時代になったと思います。例えば、化粧品といったら面と向き合わないと、色味も肌の状態も確認できない…そう思い込んでいる人は多いと思われますが、実際は違います。化粧品を扱う実店舗のスタッフは普段から聞き慣れているからこそ、聞くべき質問内容を絞り込める才能を持っています。実は、チャットで顔が見えなくても、的確な答えが提示できる、なんて話があります。接客に多様性が出てきてそこに関連して、発揮できるはずの埋もれた才能を見逃さないよう、企業が知恵を働かさなければならなくなったと思います。
🗣解説
近年多くの企業がオンライン接客に強い関心を示しています。その背景には新型コロナウイルスの影響があります。以前のように実店舗でのコミュニケーションが希薄になってしまったことで、顧客ニーズやブランドの想いを伝えられる場所が失われてしまっているのです。そのため、オンラインで顧客と密に繋がり、新たな形でコミュニケーションを深める企業が増えています。顧客の生の声を知るために、オンライン接客の重要性はさらに増していくことでしょう。
今後、オンライン上の接客に対して、顧客の意識で変化していくと予想していることを教えてください。
河野さん:オフラインとオンラインの顧客体験が双方向でつながり、連続した接客体験が求められるようになります。
🗣解説
顧客体験(CX)という言葉が巷に溢れるようになり多くの企業が顧客体験を意識するようになってきました。しかしながら、顧客体験を向上させるにもどのように行えば良いのか実際は手探り状態の企業も多いでしょう。「とりあえずオンライン接客を導入してみたけどあまり成果が出ない」「ECサイトの改善を行なっているけどなかなかCVRが上がらない」といった企業も少なくありません。一つのタッチポイントだけで顧客体験を改善するのではなく、連続的な顧客体験の改善に取り組む必要があります。
北山さん:オンラインでの接客に慣れてくると思います。双方(販売側と購入側)のやり取りがよりスムーズになるでしょう。
🗣解説
今はまだ全ての企業がオンライン接客を導入しているとは言えないものの、顧客体験を向上させようと考えている自社ECサイトでは接客サービスの質は上がっています。そのようなサイトを利用したことのあるユーザーが増えてくると、オンライン接客を導入していないサイトはどんどん不利になってしまいます。ユーザーのリテラシーが向上するのとともに、EC業界のレベルを向上していく必要があります。
四元さん:オンライン上で情報を受け取り購入の判断にする事が当たり前になってきており、今後はよりこの流れが多くの顧客層にも当たり前になってくると考えます。全体的なデジタルリテラシーが向上しているので顧客も積極的に情報を受け取りに動くことになってくることでしょう。
🗣解説
消費者が商品をネットで購入する際、さまざまな情報をリサーチします。SNS上での口コミや評価サイト、他社の商品との比較。これからは数字でわかりやすいものに加えて、親身に対応してくれたか、買い物がしやすかったといった定性的な観点も増えていくのではないでしょうか。実店舗と同じような体験を求められるほど、ユーザーのリテラシーは向上しているのです。
顧客の意識変化に対して、EC事業者はどのような考えをもって、EC運営を行なっていくべきだと思いますか。
四元さん:プロダクト、マーケティング、セールス、CRMを顧客軸で設計していく必要があります。
🗣解説
顧客の声が聞きやすい時代になったからこそ、プロダクトの開発・改善、マーケティング、セールス、CRMといたものを企業軸ではなく顧客の声を軸に設計していくことが重要です。ECの競争が激化すると同時に顧客のITリテラシーも向上しているため他ブランドへの乗り換えも簡単に起きます。顧客軸でサービスを展開する企業だけが生き残る時代になっているため、顧客の声を可能な限り拾い、サービスを展開することが求められます。
施策後は、どのような結果から顧客満足度を測るのがいいのでしょうか。
河野さん:LTVとNPS
🗣解説
LTVとは「Lifetime Value」の略で、日本語では「顧客生涯価値」ともいいます。ECビジネスの場合は初回購入でそのサイトのお客様となったユーザーが、その後企業にもたらす価値(利益)の総額を指します。LTVを向上させるためには、顧客のロイヤリティを高め、顧客との良好な関係性を構築・維持することが不可欠です。
🗣解説
NPSとは「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤルティを測る指標です。NPSでは、数値によって推奨者、中立者、批判者の3つのカテゴリーにお客様を分類します。そこでNPSの数値を確認するだけでなく、自社のお客様ではどのカテゴリーが多いのかを把握することに役立ちます。批判者が多い場合には点数を付けた理由を深掘りし、商品やサービスを見直すことが可能となります。またNPSは共通の測定方法が用いられているため、業界平均や競合他社と自社を比較することで自社の立ち位置を把握することができます。そのため、“自社らしさ”をブラッシュアプしたり、自社には足りない部分を把握し、改善へのアクションに繋げることができます。
本記事でもキーワードとして上がった「顧客体験(CX)」。企業が生き残るためには必須の考え方になってきました。しかし顧客体験とはとにかく丁寧に対応するといった表面的なものに留まるのではありません。顧客理解を深めた上で顧客の期待値を超える良い体験を提供し、いかに記憶に残るのかがポイントとなります。CX改善は誰もが取り組むことができると同時に、全員で改善すべきものです。部署とは関係なしに顧客に自社のことを好きになってもらい、「また使いたい!来たい!」と思ってもらえるような顧客体験を意識しながらファンと共に成長するECを目指していきましょう!