Harper • Marketing Manager
『EC×CRM パイオニアを囲う!これからのEC戦略ってどうするべき?』と題して、アパレル業界のECサイト運営者向けイベントをチャネルトークオフィスで開催しました
当日は80名超の方にご来場していただき、大盛況のうちに終えることができました。
セミナーの内容や交流会の様子をご覧ください
CRM施策が顧客に刺さらないというご相談を多くいただきます。その中で、SHIPS 大塚氏やBEAMS 山崎氏と会話をした際、お二方がCRMを推進し始めた頃は、自社だけでなく他社の担当者とも情報交換をしながら施策の改善を重ねていたという秘訣を聞きました
この話を通じてオンラインが主流である今だからこそ、担当者同士が悩みを共有し合える「横のつながりを持てるリアルな場」を提供したいと考え、今回イベントの開催に至りました
株式会社SHIPS 執行役員 経営企画室/DX・EC担当
大塚裕史氏
1996年アルバイトで株式会社SHIPSに入社し、物流部門に従事。2000年から情報システム部へ。情報システム部では、「基幹MDシステム導入」「CRMシステム導入」「RFID導入」等、さまざまなシステム導入の責任者として従事
株式会社BEAMS マーケティング本部 本部長
山崎勇一氏
1996年、ビームスに入社。店舗販売員としてキャリアをスタートし、店舗マネージャーやエリア統括部門を歴任。CRM部門の立ち上げに参画し、顧客システムの再構築、マーケティングシステム導入、公式アプリ構築をリード。さらに、NPSを基軸としたVOCアンケートの導入を推進。会員組織の運用管理・分析、ECサイトや顧客コミュニケーション基盤であるオウンドメディア、WEB広告、SNSなどを担当。2024年3月より現職。宣伝販促やイベント、コンテンツ、クリエイティブ部門も担当。
株式会社Channel Corporation 日本CEO
玉川葉
高麗大学 生命工学科卒業後、 韓国の最大大手ライフスタイル企業E-Landにてコンサルティングチームに所属。その後、住友商事 韓国支社にてグローバル営業チームとして従事。更にグローバル通信販売業のeBay KoreaではMDとして勤務し、2015年からチャネルコーポレーションの日本支社代表として「チャネルトーク」のグローバル成長に寄与している。
玉川:さまざまな知見からCRM施策を行なっているかと思いますが、まずは各社のCRM施策について教えていただけないでしょうか?
大塚氏:SHIPSでは1990年からCRMに取り組んでおり、当時はクレジットカード機能付きの「SHIPSカード」という会員カードを発行し、顧客情報を管理していました。ただ、クレジットカード機能があまり受け入れられず、20年間で会員数は3万人しかいなかったんです。その後、2008年に「SHIPSメンバーズクラブ」を立ち上げ、顧客にポイントを還元する仕組みを導入しました。
玉川:そのポイントシステムはどのように進化してきたのでしょうか?
大塚氏:2011年には、リアルタイムでポイントを付与できるシステムを導入し、CRM戦略がさらに進化しました。2023年にはロイヤリティプログラムを刷新したことによって、顧客の行動データをもとにした細かいインセンティブを提供できるようになりました。顧客行動の「見える化」が進んだことで、適切なタイミングで適切な施策を打てるようになったのが大きなポイントです。
玉川:BEAMSにおけるCRM導入の背景や経緯はどのようなものだったのでしょうか?
山崎氏:BEAMSでは2002年に会員プログラムを導入しましたが、当初はデータを集めるのみに留まり、そのデータをマーケティングに活かす仕組みが整っていませんでした。その後、2012年にCRMのプログラムを見直し、顧客データを有効活用できるようになりました。私は店舗スタッフとしてエリアマネージャーを経験したあと、CRMプロジェクトに携わったのですが、CRMについての知識がまったくなかったため、「CRMって何だろう?」と悩みながら進めていました。そこで他社にも学びながら、CRMをゼロから構築していき、顧客の購買データをどう活かして顧客満足度を向上させるかに注力し、BEAMSのCRMを作っていきました。
玉川:時が流れるにつれて、CRMの形は変わっていくと思うのですが、今のCRMで変わったこと、変わっていないことはなんでしょうか?
山崎氏:CRMの基本的な目的は、顧客との長期的な関係を築き、LTV(顧客生涯価値)を向上させることです。この点は20年前から変わっていません。ただ、顧客行動の「見える化」が進んだことで、CRMのプロセスは大きく変わりました。顧客がどのような行動を取っているかを把握し、その行動に対して適切なインセンティブを提供できるようになったんです。
大塚氏:私も同感です。テクノロジーの進化によって、より多くのデータを収集できるようになり、マーケティングも高度化しています。しかし、変わらないのは「お客さま目線でのマーケティング設計」の重要性です。企業の都合だけで施策を打つと、短期的には売上が上がるかもしれませんが、長期的なエンゲージメントを損なう可能性があります。
大塚氏:おっしゃる通り、テクノロジーが進化しても、顧客との関係をどう築くかは常に考えなければならないテーマだと考えています。
玉川:今年は、SHIPSもBEAMSもロイヤリティプログラムを刷新された年だと伺っています。具体的にはどのような点が変わったのでしょうか?
大塚氏:マイル化などの案が出ていましたが、これまでのプログラムが非常にわかりづらかったため、今回は徹底的に軸を「わかりやすさ」に置き、お客さま目線を意識しました。2018年からプロジェクトが始まっていたものの、コロナ禍で一時中断してしまい、今年ようやく完成しました。新しいプログラムでは、顧客の行動に基づいてインセンティブを提供する仕組みを導入しています。
山崎氏:BEAMSでも、今年9月に新しいプログラムをリリースしました。顧客の行動データに基づいた「マイルシステム」を導入し、購入だけでなく、レビューを書いたりお気に入りに商品を登録することでマイルが貯まる仕組みです。その獲得されたマイルによってステージ化しており、長期的にBEAMSと関わっていただくことで、より多くの幸せをお客さまへ届けられるように設計しました。
玉川:今後のCRM戦略について、どのような展望や課題をお考えですか?
大塚氏:CRMの未来において、テクノロジーはさらに進化し、より多くのデータを取得できるようになると思います。ただ、そのデータをどう活用して顧客との関係を深めるかが今後の課題です。データを集めるだけではなく、適切に使いこなして、顧客にとって価値ある体験を提供することが重要だと考えています。
山崎氏:私たちも同じように考えており、CRMは顧客との関係を長期的に築くためのツールです。ただ、その関係を築くためには、企業側が一方的なメッセージを送り続けるのではなく、顧客にとって本当に価値があるものを提供しなければなりません。これが今後のCRMの最大の課題であり、同時に大きなチャンスでもあると考えています。
トークセッション終了後は、ご参加いただいた方からご質問をいただきました。SHIPSが行っているアクションによるポイント付与制度、どんな数字の変化があったのでしょうか?
Q:お客さまのアクションによってポイントを付与するという制度を導入されたと思います。何か数字の変化はありましたか?またどのアクションが最も効果的だったのでしょうか?
大塚氏:SHIPSでは新規入会特典として500ポイント、また会員情報をしっかり入力していただけるとさらに500ポイントを付与しています。これに加えて、来店予約をして購入いただいた場合には500ポイント、さらに試着予約には100ポイント、アンケートに回答いただくと500ポイントといった形で、複数のアクションに対するポイント制度を導入しており、一番結果があったのは「来店予約」でした。
元々来店予約は月に50件程度だったのですが、アクションポイントの導入によって約5倍に増加しました。お客さまからのアンケートでも「来店予約が便利だ」というお言葉を多くいただいており、特に忙しいお客さまにとって、タイムパフォーマンスが重要視されていることがわかりました。コロナ禍で導入したサービスでしたが、今回の訴求によってさらに利用が増えたという印象です。
また会員情報の入力率が10%台と非常に低かったのですが、アクションポイントを導入してからは約40%まで上昇しました。ポイントがもらえることが、お客さまにとって大きな動機になっていることが判明し、これも大きな成功ポイントのひとつだと思っています。
交流会では、アルコールを片手に“オフラインだからこそできる”コミュニケーションが生まれていました
来場いただいた方々から「また参加したい!」との声を多くいただくことができました。
-セッションが有益で、もっと聞きたい内容だった
-様々な方と交流ができて、今後の施策改善に役に立った
-次回もぜひ参加させていただきたいです!
チャネルトークでは、今後も継続してオフラインの場で繋がれるイベントを企画していこうと考えております
ぜひ皆様ご参加ください