CS業界の2024年を振り返り、2025年のトレンドを解説。生成AIソリューションの普及やカスハラ対策の法整備、DX推進による業務改革、人材不足と正社員化など、多角的な視点からCS業界の「今」と「これから」を読み解きます。
Rooney • JP Organic Team Leader
こんにちは、Rooneyです!チャネルトークでOrganic Teamを担当しております。
昨年「チャネルトーク」へ転職したことをきっかけに、これまで以上にCS(カスタマーサポート/カスタマーサクセス)業界へ深くコミットする機会が増えました。特に2024年はセミナーの登壇回数も増えた事により、CSの現場や戦略について考えアウトプットする機会が本当に多かった一年になりました。
そこで本記事では、2024年のCS業界を振り返り、2025年に向けた展望についてまとめます。市場全体の動きと個人的な見解を交えながら、生成AIの活用やカスハラ(カスタマーハラスメント)対策、そしてDX推進など、CS業界の注目テーマを分かりやすく解説していきたいと思います。
コールセンターやカスタマーサポート関連の大規模展示会「CC & CRM デモカンファレンス 2024」においても、多くの出展企業が生成AIを活用したソリューションを掲げていました。
市場背景:2023年から活発化している生成AI分野への投資が、2024年になりCS業界にも本格的に波及。
活用事例:チャットボットやメール対応の自動化、高度なFAQシステムなど、AIを活かしたオペレーション最適化が進行。
このように、「生成AIソリューションのデファクト化」ともいえる流れが、2024年のCS業界では大きく加速しました。
2024年は、カスハラ対策に関する法整備や企業の具体的取り組みが一層加速した一年でもあります。
背景:同年6月、政府が「経済財政運営と改革の基本方針2024」を閣議決定し、職場でのハラスメント対策強化を示唆。結果として、企業にはカスハラ対策の義務化が求められる流れに。
社会的影響:メディア報道やセミナー開催が増え、社会全体がカスタマーハラスメントへの対策を意識するように。様々なソリューションが出揃い、予算確保や組織体制強化などが進んだ。
カスハラは以前からCS現場にとって大きな負担でしたが、法制化や支援策の充実によって、対策に予算を割く企業が増加し、2024年は対策が大きく前進した一年といえます。
課題:オペレーターやSV(スーパーバイザー)の人材不足、離職率の高さ、対応品質のばらつき。
技術革新:生成AIやチャットツールなどの導入拡大。ノンボイス(チャット・メール)対応への移行が加速。
CX(顧客体験)の重要性:パーソナライズやAI活用による顧客体験向上が企業の優先課題に。
再編と拠点移転:コスト削減や地方活性化の一環で地方拠点への移転が進み、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)プレーヤーによる業界再編も活性化。
2024年の動向を踏まえ、2025年に焦点を当てたトピックを見ていきましょう。ポイントは、AIのさらなる進化と人間の役割変化、そしてオムニチャネル対応や人材戦略です。
高度な連携:AIによる自動応答・データ分析と人間によるきめ細やかなサポートを組み合わせる“ハイブリッドサポート”が普及。
シームレスな運用:チャットボットから有人対応へのスムーズな切り替えなど、顧客視点でのサポート体験を向上させる仕組みが重要に。
顧客が電話・メール・SNS・オンラインチャットなど、複数のチャネルを自由に行き来する時代が本格化。
背景:OMO(Online Merges with Offline)のソリューションの普及に伴い、オンラインとオフラインの垣根がさらに低下。
ポイント:マルチチャネルからオムニチャネルへと進化し、一元管理された顧客情報をもとに途切れのない顧客対応が求められる。
導入事例の増加:大手企業を中心に、自動化前提のカスタマーサポート運用が一般化。
狙い:人材不足に対応しながら、サービスレベルの低下を防ぐために、生成AIを活用した効率的なオペレーションが広がる。
正社員化の進行:オペレーターの正社員比率が一気に高まる可能性。
SV不足問題:一方でSV(スーパーバイザー)クラスの人材不足はさらに深刻化。業務設計やチームマネジメントのノウハウが求められる。
システムの刷新:顧客データ管理や問い合わせ履歴の統合など、基幹システムを見直す動きが加速。
生成AIの導入×オムニチャネル化:顧客接点を網羅的にデジタル変革することで、より高度なデータ活用や顧客体験の最適化を目指す。
総じて、2025年のCS業界は「テクノロジーの一般化」と「人間の役割の再定義」がさらに進むと予想されます。
AIが当たり前の時代:AIはサポートの自動化だけでなく、オペレーターのトレーニングや業務支援にも活用される。
人間ならではの強み:問題解決や感情面でのサポートなど、AIではカバーしきれない部分にフォーカスすることで、CSの価値がより明確になるでしょう。
2024年の「チャネルトーク」で特筆すべきトピックは、24時間稼働するAIエージェントによる商品キャンセル対応まで実装したソリューションが誕生したことです。
事例:PAUL & JOE 様
生成AIエージェント「ALF」が導入され、お客様に合った化粧品の提案や注文キャンセル手続きまでをAIが実施しています。これは2023年には存在しなかった新たな顧客体験であり、今後はこのケースの様に世の中のCS業務が大きく変化すると感じています。
詳しくはこちら:PAUL & JOEがAIで24時間顧客対応を実現!
そしてもう一点ご紹介したいのが、昨年末に開催した「日本のCSの未来を語るイベント」です。
コールセンタージャパン 矢島氏 × メルカリ 山田氏 × チャネルトーク Rooney
この業界で著名な三人によるパネルディスカッションを行い、「CSの未来」「CSキャリアのこれから」をテーマに多角的な議論ができました。生成AIの進化によって、CSに求められるスキルやキャリアパスも変化するため、今後ますます注目すべき領域だと思います。
詳細はこちら:【イベントレポート】CSの未来とCSキャリアのこれから
2024年は生成AIブームとカスハラ対策の進展がCS業界を大きく動かした一年でした。2025年には、この流れが更に大きくなり、AIによる業務効率化と人間のきめ細かなサポートのハイブリッド化が加速すると思われます。また、オムニチャネル対応やDX推進の必要性がさらに高まり、人材戦略の見直しも重要なテーマになってきます。
私自身も引き続き、CS業界の一員として新しいサービスやテクノロジーを取り入れながら、カスタマーサポートの進化に貢献していきたいと思います。
記事中に登場した主要キーワード
CS業界/カスタマーサポート/生成AI/オムニチャネル/カスハラ対策/人材不足DX(デジタルトランスフォーメーション)/チャネルトーク/AIチャットボット/AIエージェント