顧客とのコミュニケーションを可視化し、VoCを活かす選定基準
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CRMは「Customer Relationship Management」の略称です。その名の通り、本来の目的は「顧客との関係性(Relationship)」を築き、深めることにあります。
しかし、多くの企業ではいつの間にか「R」の視点が抜け落ち、単なる顧客情報の「名簿管理」が目的になってしまっています。これでは、データがたまっても顧客理解は進みません。
そこで本記事では、CRMが形骸化する根本的な原因を紐解き、CS責任者が重視すべき「顧客とのコミュニケーション」を軸にした選定基準を解説します。チャネルトークをはじめとするCRMツール10選の比較や、株式会社アンドエスティ様・株式会社MAISON SPECIAL様の先進事例を通じ、情報の管理から「関係性の構築」へとシフトするためのヒントをお届けします。
CRMツールを導入した多くの企業が陥る罠、それがツールの「名簿化」です。本来は顧客との関係性を深めるための武器であるはずのCRMが、なぜただのデータ蓄積場所に成り下がってしまうのでしょうか。
CS責任者が直面しがちな3つの根本原因を紐解きます。
最も多い原因は、ツールへの「データ入力」そのものが業務のゴールになってしまうことです。日々の対話履歴や属性情報を埋めることに追われ、蓄積されたデータから「このお客様は今、何を求めているのか」を考察する余裕が現場から失われています。
CRMの「R(Relationship)」を築くには、記録された情報の背景にある顧客の感情や文脈を読み解く必要がありますが、入力作業の負荷がその機会を奪っているのです。
相談やチャットを通じて届くVoC(顧客の声)は、顧客理解の宝庫です。しかし、多くのCRM運用ではこれらの定性的な情報が「対応完了」のステータスと共にアーカイブされ、眠ったままになっています。
データが整理・可視化されず、現場のメンバーが接客の瞬間にその声を活用できる仕組みがないため、結局は担当者の記憶や勘に頼った、場当たり的なコミュニケーションから脱却できなくなります。
管理職側の「レポート集計のしやすさ」や「多機能さ」を基準にツールを選定すると、現場の利便性が置き去りにされがちです。
操作が複雑で、必要な情報にたどり着くまでに何度もクリックが必要なツールは、スピード感が求められる顧客とのコミュニケーションの現場では敬遠されます。
結果として、現場は最低限の入力しか行わなくなり、CRMは活きた情報が循環しない「ただの箱」へと形骸化していきます。
CRMを「関係性の構築」として機能させるためには、従来の「情報の蓄積」という視点から脱却する必要があります。CS責任者が、現場とともに顧客理解を深めるためにチェックすべき3つの選定基準を解説します。
顧客との「今」の関係を正しく把握するには、情報の鮮度と可視化のスピードが不可欠です。コミュニケーションの最中に、瞬時に「過去にどのような会話があり、どのような悩みを持っていたか」が画面上で一目でわかる必要があります。
複数のページを行き来することなく、リアルタイムでこれまでの歩みが可視化されることで、初めて一貫性のある、顧客に寄り添った対話が可能になります。
溜まったデータを「宝の持ち腐れ」にしないためには、VoC(顧客の声)を多角的に分析できる機能が重要です。
「どのような属性の人から」「どのタイミングで」といった属性データに加え、「具体的にどのような温度感で、どんな声が届いているのか」という定性的な内容までを深く認識・分類できることが求められます。
顧客の本音を解像度高く把握できてこそ、CS部門からプロダクトやサービス改善へ、根拠のある提案が行えるようになります。
どれほど高機能でも、現場が使いこなせなければ意味がありません。入力のしやすさはもちろん、情報を「見る」楽しさや、顧客を「知る」喜びを感じられるUI(ユーザーインターフェース)であるかが、ツールの定着を左右します。
使いやすさが現場の余裕を生み、その余裕が顧客一人ひとりに対する丁寧な対話、つまり「Relationship(関係性)」の構築へと繋がります。
関連記事:CRMとは顧客理解から始まる|LTV向上へ繋がるCSコミュニケーションの「本質」
市場には数多くのCRMツールが存在しますが、それぞれ得意とする領域が異なります。ここでは、本質的な「Relationship」を築くために役立つ10のツールを厳選してご紹介します。
接客チャットとCRMを統合し、顧客理解を最大化する設計
チャネルトークは、顧客との対話(接客チャット)と顧客情報(CRM)を一元的に管理できるツールです。チャット画面で会話をしながら、横の画面で会員情報や過去の接点履歴を瞬時に確認できます。管理のためのツールではなく、「目の前の顧客を深く知るためのツール」として設計されており、顧客とのコミュニケーションをファン化につなげたい企業に最適です。
公式サイト:https://channel.io/ja
大規模な顧客データの一元管理と高度な自動化
世界的に高いシェアを持つCRMツール。膨大な顧客データを一元管理する能力に長けています。複雑なワークフローの自動化やAIによる分析機能が強力で、大規模な組織において効率的に顧客情報を活用するのに向いています。
公式サイト:https://www.salesforce.com/jp/
マーケティング連携と直感的なUIでSMBに最適
マーケティング、営業、CSの各フェーズを一気通貫で管理できるのが強みです。UIが非常に直感的で、現場のメンバーが迷わず使い始められるのが特徴です。
公式サイト:https://www.hubspot.jp/
効率的なチケット管理とナレッジ共有に強み
あらゆるチャネルからのメッセージを一元管理する「チケット管理」の先駆けです。効率的に大量のタスクを処理できる設計に定評がありますが、顧客との親密な距離感を重視する場合は運用の工夫が必要です。
公式サイト:https://www.zendesk.co.jp/
低コストで多機能、カスタマイズ性の高さが魅力
必要な機能を備えつつ、コストパフォーマンスに優れています。中小企業を中心に導入が進んでおり、自社の業務フローに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。
公式サイト:https://www.zoho.com/jp/crm/
現場の使いやすさを追求した営業・CS支援
直感的な操作性にこだわった国産ツールです。案件の進捗管理が視覚化されており、営業からCSへの引き継ぎをスムーズにし、顧客体験を損なわない運用を支援します。
公式サイト:https://mazrica.com/product/
自社専用の顧客管理アプリを柔軟に作成可能
プログラミングなしで自社に最適な管理アプリを作成できます。自社特有の管理項目が多い企業にフィットします。
公式サイト:https://kintone.cybozu.co.jp/
日本のビジネス習慣に合わせた手厚いサポート
日本の現場習慣に特化した国産ツール。入力負荷を軽減する工夫と、伴走型の手厚いサポートが強みです。
公式サイト:https://www.e-sales.jp/
CRMとMAの融合で深い顧客分析を実現
分析に特化したCRM/MAツール。顧客を細かくセグメントし、一人ひとりに合わせたアクションを導き出します。
公式サイト:https://www.customer-rings.com/
Office 365連携と強力なデータ分析基盤
Microsoft製品との親和性が極めて高く、全社的なデータ基盤としてCRMを構築したいエンタープライズ企業に向いています。
公式サイト:https://www.microsoft.com/ja-jp/dynamics-365
数あるCRMツールの中でも、特に顧客満足度(CS)を重視する企業がチャネルトークを選ぶのには明確な理由があります。それは、チャネルトークが「管理のためのツール」ではなく、顧客との「熱狂的な関係を作るための対話ツール」として設計されているからです。
チャネルトークの最大の特徴は、チャットとCRMが高度に統合されている点です。会話をしている瞬間に、画面の右側には会員情報や過去の履歴がリアルタイムで表示されます。わざわざ別画面を開き直す必要はありません。「前回ご相談いただいた件ですが、その後いかがですか?」といった、文脈に沿った「おもてなし」が自然と行える環境が、満足度向上を支えています。
現場に届くVoC(顧客の声)を「対応して終わり」にさせません。チャットで得られた生の声にタグ付けし、即座にチーム全体へ共有できます。顧客の「言葉の温度感」をそのまま開発担当者に届けられるため、CS部門が起点となってサービスをアップデートしていく「攻めのCS」を実現できます。
実店舗のような「おもてなし」をオンラインで。CRMデータを活用する秘訣
ブランド「and ST(アンドエスティ)」を運営するアンドエスティ様は、CRMをオンライン上での「おもてなし」の核として活用されています。チャネルトークを通じて、顧客が今見ている商品やこれまでの接点など、背景にある文脈を把握。ECであっても実店舗のように、一人ひとりの状況に寄り添ったコミュニケーションを実現し、ブランドへの信頼を強固にしています。
関連記事:チャネルトークの導入により大幅なリソース削減を実現。チャットbotの自己解決率は88%を記録
VoC(顧客の声)を熱狂的なファン作りに変える。双方向のコミュニケーション設計
アパレルブランドのMAISON SPECIAL様では、CRMを「顧客の声」を吸い上げ、ブランド体験を共創するためのチャネルとして位置づけています。日々のチャットから得られる細かな要望を、次の商品開発やイベント企画へのヒントとして活用。顧客は「自分の声が届いている」と実感でき、それが熱狂的なファン化へと繋がっています。
関連記事:創業5年 年商35億円 MAISON SPECIALが実践する埋もれないブランドの作り方
CRMの本質は「関係性の構築」にあります。どれほど多機能なツールも、単なるデータの入れ物になってしまえば、その価値を享受できません。
CS責任者が今向き合うべきは、「管理の効率」だけでなく、「いかに現場が顧客を深く知り、熱量のある対話を生み出せるか」という視点です。
データの蓄積から「活用」へ:リアルタイムに状況を可視化し、文脈を作る。
情報の処理から「改善」へ:VoCを汲み取り、プロダクトへ還元する。
ツールの運用から「ファン作り」へ:現場が使いこなせるUIで、ゆとりのあるおもてなしを実現する。
もし、貴社のCRMが「ただの名簿」になりかけているなら、一度「顧客とのコミュニケーション」を軸に据えた設計に見直してみてはいかがでしょうか。
名簿管理を卒業した先に、真の顧客理解とLTVの向上が待っています。